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第15報. 美瑛の観光戦略-No.1~戦略目標

最終更新: 2018年12月11日


美瑛の基幹産業といわれる観光の戦略目標を、入込総数から宿泊客延数へ転換すべきである。

理由の第1は、近年の入込総数の大幅な伸びが、必ずしも宿泊客延数の伸びに波及せず、収益機会の損失となっていること。第2に、戦略を転換して入込総数の伸びを宿泊にも取り込めれば、経済効果がより期待でき、雇用の創出と周辺産業の活性化をもららすこと。第3に、たとえば<美瑛の景観>と<美瑛で養成されたシェフ>と<美瑛食材の料理>が揃ったホテルという新コンセプトならば、美瑛の資源を活かして富良野や旭川との差別化がはかれ、またリピート集客も可能であること。

根拠の説明

  1. H22からH26の期間において、美瑛町の入込総数(上グラフ左の矢印)は顕著な伸びをを示すが、宿泊客延数(上グラフ右の矢印)では北海道の平均レベルにとどまる。下表の左の入込総数で詳しく見ると、旭川は旭山動物園の、富良野は風のガーデンのブームが去ったためか長期低落であり、美瑛は青い池の効果のためか急増している。旭川と富良野が減らした分を、美瑛が吸収したとも言える。(※上のグラフはクリックで拡大する。)

  2. ところが、下表の中央を見ると、宿泊割合(%)では富良野と旭川が増え美瑛が減らした。その結果、下表の右を見ると、旭川と富良野の宿泊延数が大幅に増え、美瑛は微増にとどまっている。美瑛が青い池やパッチワークの丘で昼間に集客した観光客が、夜には富良野と旭川に宿泊で流出した構図が見える。

  3. 北海道経済部観光局の資料によれば、一泊当たりの観光消費額単価として、訪日外国人来道者の観光消費額単価122,128(円/人)、平均宿泊数5.4日、一泊当たりの観光消費額単価22,616円というデータがある。また、道民日帰り旅行の場合は7,246円となっている。これを参考にすれば、日帰りと宿泊では地元に落ちるお金に3倍の開きがある。  機会損失について。美瑛の宿泊割合がH22からH26にかけて19%を維持できたと仮定すれば、H26の宿泊客延数は340(千人)となり、実際の269(千人)より71(千人)増やせたことになる。これに上記の単価22,616円を掛けると観光消費額の機会損失が求まる。これを試算すると年間16億円となる。


まとめ

 入込総数を追いかけることは、80%を占める日帰り客を追いかけることに等しい。温根湯温泉の山の水族館も、マッサンの余市も、日帰り旅行で毎年リピートする人は少ない。古くは知床、いまは富良野と旭川で、なにかのブームのあとで入込総数が減少傾向に転じたように、美瑛の青い池も同じである。よって、経営戦略としてはブームの後追いの投資は極力控える。

 むしろ、美瑛の資源を生かしたホテル宿泊のコンセプトを追求すれば、夏も冬もイベント企画のプロモートでリピータの獲得が可能となる。投資回収や持続性の面でも好ましい。ところが、観光協会のHPを見ると、宿泊割合40%超を誇る富良野に比べて、美瑛は見劣りがする(次回以降を参照)。表示される宿泊施設数、情報量とも改善の余地がある。まずは、入込総数から宿泊客延数に戦略目標を転換することから始めるべきである。

 なお、本稿の分析は外国人を分けていないので、次回以降の論点としたい。

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参考文献 北海道の観光入込客数の推移 →資料へ

第5回北海道観光産業経済効果調査 →資料

#観光戦略

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