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第18報. 農地観光の研究-1~真の問題

最終更新: 2019年9月22日



“丘のまちびえい”の写真スポット“哲学の木”が所有者によって切られた。農地がつくりだす美しい景観を求めてなかに侵入する観光客に、被害地域の農家(以下、農家)の長年の忍耐が切れた結果である。平和な農作業と子孫にわたす農地を守りたい農家が権利を行使した。農地観光をめぐる問題が解決しない理由のひとつは、利害関係者が「真の問題」を共有していないことにある。本稿は、問題解決の筋道と論点を整理する。

1.「真の問題」の構造

農地観光の問題の論点をフローチャートで整理したものが上図である。ひとつの問題がある結果を引き起こし、その結果が別の結果を引き起こす、いわゆる因果関係が上から下につながっている。下に行くほど究極の問題、つまり「真の問題」が見えてくる。

この図の上側は農家の直接被害、下側は予想される間接被害のリスクがあらわされ、大きくふたつの流れとなっている。ひとつめは観光客の農道への乗入れが引き起こす渋滞や農作業の妨害、ふたつめは農地への侵入による作物の被害である。

ここで農家が恐れるのは土壌汚染による深刻な作物の病気である。つまり、無管理な観光客の流入~農薬の効かない病気の発生~輪作体系の崩壊~作物が作れない~経営ができない~農業景観がなくなるという負の連鎖である。もうひとつ、もし自分が農道で事故を起こしたときの責任である。これらが、「真の問題」となる。

特に、観光客による農地の侵害が、農業にも観光にも深刻な被害を及ぼすリスクとなる点は、関係者の共通の問題となる。

2.いままではどうか

いままで、「土壌汚染による深刻な作物の病気(注)」という認識は主流となっていない。観光客に「農地の保全」や「観光マナーの向上」呼びかけたが、スローガンのため問題は解決していない。その理由は、

  • スローガンが上図の「農道へ乗入れ」「農地へ侵入」に直接的に効かない---(必要であるが、十分条件でない)

  • 進入禁止領域があいまい---(ガイドマップの文章、禁止看板の境界の不統一、取締り根拠にならない)

  • 進入禁止の理由があいまい---(観光協会、町、農家がばらばらな言語と表現、お願いなのか規制なのか)

3.どうすれば解決するか

上図の「真の問題」の構造において「農道へ乗入れ」と「農地へ侵入」に効果ある「打ち手」を見つけることである。いまの法律で規制できなかったこと、相手が不特定多数で多国籍の観光客であることから、あたらしいルールで規制するのが最も合理的である。具体的に必要な要件は、

  • 物理的な境界線を明確にする---(いろいろな対策の元になる)

  • 看板やチラシに効力を持たせる---(お願いではなく規制を告知する、国際的に通用する形式)

  • 罰則規定のある農地侵入禁止条例---(規制の実効性を担保、取締りの根拠)

4.本当にできるか

これについては、ひとえに次の問いにかかっているので次稿で掘り下げることとする。

  • 今まで関係者の話合いで解決できなかった理由はなにか

  • このまちで新しいルールをつくれるか

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注)

土壌汚染と深刻な作物の病気の関係について学術的に未解明であるが、問題ないという証明もどこにもない。家畜(牛、豚、にわとり)の疫病と同じレベルの防疫体制、いつ起きるかわからない地震に備えた原発のような安全意識が必要である。詳しくは別稿で解説する。

#農地観光 #観光戦略

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