“丘のまちびえい“の農地観光の問題は、着地のみえない話し合いを続けたこと、行政の調整が機能しないこと、その結果として被害地域の農家(※以下、農家)は不満を強め観光振興に抵抗する立場に追い込まれた。問題解決のリーダーシップが見えないなかで、まちの将来をになう基幹産業の農業と観光が不幸な対立に陥っている。この問題の解決にはリーダーシップが必要である。それが行政であれ、議会であれ、あるいは住民パワーであれ、リーダーシップが解決の旗印を掲げれば前に向かって全体が進める。
1.問題を解決できる会議
チャートのように、問題解決の話し合いで成果を得る条件は、「問題点の一致」、「打ち手の一致」、「責任と権限」の3条件がすべて揃うことである。難しいのは、「責任と権限」で、「利害の代表」、「決定の権限」、「実行の権限」がすべて揃わねばならない。経営がしっかりした民間の会社は、話し合いで着地する目標を設定して、組織のリーダーから責任と権限を委譲されたメンバーがアウトプットを出すから、ものごとの解決が早い。
2.リーダーシップのない話し合い
農地観光の問題が話し合いで解決できなのは、メンバーに上であげた3条件のどれかが欠けているからである。条件をわかりやすくいうとつぎのようになる。この条件を保証するのが組織のリーダーシップである。
真の課題が「(農家の所有する)農地を観光客に侵害させない」と「作物の病気のリスクの除去」と認識している(真の問題)
この問題を解決するにはルールが必要だと認識している(打ち手)
ルールをつくる責任と権限を持っている(責任と権限)
実際のところ話し合いはつぎのような行き詰まりに直面しているから、問題解決の3条件を保証するリーダーシップは存在しない、よって話し合いは意味がない。
農家が観光客を規制するのは限界がある。(JAも含む)
観光業界が観光客を規制するのは限界がある。(観光協会を含む)
警察は被害届の要件を明言できない。
まとめると、着地のみえない話し合いを続けたこと、行政の調整が機能しないと露見したこと、その結果として農家は不満を強め観光振興に抵抗する立場に追い込まれた。問題解決のリーダーシップが見えないなかで、まちの将来をになう基幹産業の農業と観光が不幸な対立に陥っている。
3.リーダーシップによる解決
この問題の解決にはリーダーシップが必要である。それが行政であれ、議会であれ、あるいは住民パワーであれ、リーダーシップが解決の旗印(目標)を掲げれば解決に向かって全体が前に進める。
“農業と観光の将来のため、今日の利害を乗り越えこの問題を解決しよう。”
“「(農家の所有する)農地を観光客に侵害させない」、そして「作物の病気のリスクの除去」する新しいルールをこのまちに作ろう
4.条例による実効性の担保
新しいルールとしては条例が適している。理由は、
いままで現行法でこの問題に対処できなかった
多様な外国人の観光客には、お願いよりルールのほうが効果ある
現状にあわせた新しいルールのほうがきめ細かい規定で効力を担保しやすい
なお観光客にルールをまもってもらうために、つぎの基本路線をわかりやすく盛り込んだ条例が望ましい。
農地の権利を明らかにする (境界線もここで定義する)
農地の権利を侵害しないことをもとめる (罰則付きで規制できること、規制の理由)
観光客の啓もう (観光業の役割、写真家の役割、行政の役割
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注
※ここで農家は、農地観光の被害地域の農家の意味。文脈のなかで農家と略している。
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