
はじめに
行政と住民がオンラインでつながって意見交換するシステムが兵庫県加古川市にある。住民の意見に対しフィードバックができ、徐々に 議論を活性化させる。結論が変えられない硬直的なパブリックコメントコメント制度の欠点を解決できる。住民と議論したい課題を明示し、議論のプラットフォームをシステム化した、ここに学ぶところがあると思う。
日経の記事
加古川市は「スマートシティ構想」を掲げている。その新たな街づくりを行政が一方的に決めるのではなく、市民とともに進めていくため、疑似議会ともいえる「市民参加型合意形成プラットフォーム」を立ち上げた。・・「シビックハッカーが覆す官製の常識 行政は市民とつくる」
加古川市の市民参加プラットフォーム
Society 5.0の変革を目指すわが国のプロジェクトとしてスマートシティ構想がある。
兵庫県加古川市の「加古川市スマートシティ構想」がそのプロジェクトに採用され、その中身について市民がオンラインで意見交換している。
具体的には、「加古川市 市民参加型合意形成プラットフォーム」というシステムを立ち上げ、つぎの17テーマについて市民と市役所が討論を行っている。
[市民]市民のQOLや利便性を向上するサービス(7テーマ)
[まち]ICTを活用した都市機能の強化や都市課題の解決(5テーマ)
[行政]デジタル行政の推進(5テーマ)
美瑛町の現状
美瑛町における行政への町民参加は、つぎのように長い道のりの課題を抱えている。
行政が町民の意見を聞く新しい方向性について、2019年の町長選挙で各候補が公約したことから、民意はおおむね一致した。
その結果、町民提案などすぐできる取り組みが2019年に始まった。
しかし新型コロナの感染拡大のため、2020年に町民が議論する集会が極端に制約された。しかしこれはワクチン普及までの一時的なものだ。
その先に、町民集会の季節や時間帯の制約を克服するという課題がある。これはZOOMでも解決できない。加古川市のシステムは解決できる。
その先に、システムができたとき、行政がインターネットで町民と共有し議論したいまちづくりの課題テーマ(※)を明示するという課題がある。これはできていない。
まとめ
行政が町民の意見を聞いて政策に反映する、この根元的な課題の道すじを描かないといけない。できること(CAN)だけやっても、やらねばならないこと(MUST)は見えてこない。・・MUST-CAN-WILL
美瑛町にとって、町民の意見を聞きたい課題テーマの設定と、議論の場(プラットフォーム)の設計がMUSTとなる。
前回のブログで触れたニセコ町・芽室町・清水町は、町民と議論したい課題テーマを設定している。
ただし住民の意見を聞く加古川市の「Decidim」(※)というオンラインツールは日本で始めての導入であり、美瑛にはすこしハードルが高いかもしれない。しかしMUSTと考えれば、SNSやブログのコメント機能を使った代替案はある。
※参加型合意形成プラットフォーム「Decidim」について
参加型合意形成プラットフォームとは オンラインで多様な市民の意見を集め、議論を集約し、政策に結びつけていくための機能を 有している参加型民主主義プロジェクトのためのオンラインツール。 バルセロナやヘルシンキなどで使われている、「Decidim(デシディム)」というツールを一般 社団法人コード・フォー・ジャパンが中心となり、日本語化を行ったもので、世界中の 30 を超 える自治体で利用されており、日本国内では本市が初めての導入となる。 市が公表した計画案について、市民が意見やアイデアを述べられる点はパブリックコメント と似ているが、パブリックコメントとは異なり、意見に対し、フィードバックを行え、徐々に 議論を活性化させていくことができるものとなっている。 加古川市Webページより引用
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Noriaki Gentsu @NorthQuest
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