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執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.105)上川管内市町村の人口移動|速報


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移住など転入数だけに目を向けた政策のほかに、転出数の町村の違いを生む何かがありそうだ。 よそに負けない子育てプログラムがあっても、子どもが流出していく現実に目をそむけてはならない。

はじめに

1月29日、政府の住民基本台帳人口移動報告(2020年)が出た。人口流出を食い止めている近隣の町村と、まだ途上の美瑛町の差が見えた。なぜ美瑛町はこどもの流出が流入より多いか?25才以上の流入がなぜ増えないか?盛り沢山の子育て政策と産業・移住政策の棚卸、選択と集中が必要ではないか。


概要

政府の住民基本台帳人口移動報告(2020年)により、上川管内の町村の2014年から2020年のデータを分析し、美瑛町の人口の課題を整理した。


総務省は29日、住民基本台帳に基づく2020年の人口移動報告を発表した。北海道は転出者が転入者を上回る「転出超過」が、19年の約4分の1に当たる1316人に大幅縮小した。・・北海道新聞(1/30)から引用

ちなみに、上川総合振興局管内の「転出超過」は2019年(583人)から2020年(413人)と30%の縮小にとどまった。筆者

データの出処
政府統計ポータルサイトe-Sat
住民基本台帳人口移動報告 年報(実数)2020年~ (表番号11-1のDB)
住民基本台帳人口移動報告 年報 (詳細集計)~2019年(表番号16-1のDB)
なお、本稿ではデータ抽出ので外国人を除いた分析としている。


年間の転入超過数(=転入数ー転出数)の5年平均

図1は、2016年~2020年の5年平均でみた年間の人口転入超過数(転入数ー転出数)をあらわしている。

※転入超過数=転入数ー転出数
数字がプラスのとき、転入数>転出数。「転入超過」といい人口は増える。
数字がマイナスのとき、転出数>転入数。「転出超過」といい人口は減る。
Fig-1
図1- 2016年~2020年の5年平均でみた年間の人口正味移動数をあらわしている。プラスのときは転入が転出より多い、マイナスのときは転出が転入より多い。グラフは(転入数ー転出数)の多い町村の順に並べた。

年間の転入超過数(5年平均)の動き

図2は、図1に示した5年平均の年間の人口正味移動数が、2018年/2019年/2020年の時点でどう動いたか見たもの。

  • 東神楽町が大きく悪化した。2015年ごろひじり野の分譲が一巡したと思われる。

  • 美瑛町は変化がない。2020年に始めた移住政策の成果はまだ現れていない。

  • 上富良野町は、自衛隊の異動の影響を受けている。

Fig-2
図2- 図1に示した5年平均の年間の人口正味移動数が、2018年/2019年/2020年の時点でどう動いたか見たもの。プラスのときは転入が転出より多い、マイナスのときは転出が転入より多い。グラフは(転入数ー転出数)の多い町村の順に並べた。

近隣の町村の分析

この分析によって、図1と図2からわかったつぎの3パターンに分けた町村の違いを見つけたい。

  • 正味の人口流入がプラスの町村ー東川町

  • 正味の人口流入がゼロ付近で均衡している町村ー当麻町、比布町、下川町、東神楽町

  • 正味の人口流入が低迷しているー美瑛町


人口流入の勢い

図3は、町村の比較のため人口1000人あたりに変換した人口流入(転入数)の勢いを比較したものである。図1・図2の(転入数ー転出数)との違いに留意。

  • 町村の並びは図1・図2と同じで、左から(転入数ー転出数)の多い順

  • 占冠村と音威子府村は特異な要素があるため、今回は分析しない。※注

※注
ー占冠村はリゾート産業の関係で、20~34の年齢層が人口流動の50%~60%を占め、比較に適さない
ー音威子府村は人口約700人中、「おといねっぷ美術工芸高」の約110名の全員が村外の出身で、学年ごとに流入と流出を繰り返す構造のため、比較に適さない

図3のグラフから言えること:

  • 当麻町・比布町・美瑛町は人口1000人あたりの転入数がともに30人

  • しかし(転入数ー転出数)の結果(図1・図2)でみると当麻町・比布町は美瑛町より優位

  • 幌加内町より右には人口1000人あたりの転入数が東川町なみに40を超えるところもあるが(転入数ー転出数)の結果(図1・図2)は差がある。

  • よって、移住など転入数だけに目を向けた政策のほかに、町村の違いを生む何かがある

Fig-3
図3-2016年~2020年の5年平均でみた年間の転入数を人口1000人あたりに変換したもの。グラフは(転入数ー転出数)の多い町村の順に並べた。

なお、2020/1/1現在の住民基本台帳の町村の人口は、ここで参照のこと。


 


年齢層ごとの特徴

図4以降は、5歳年齢ごとの(転入数ー転出数)=純増に着目し、人口流出を克服しつつある町(東川町、当麻町、比布町、下川町、東神楽町)と美瑛町との違いのパターンを見つけたい。

  • 町村の並びは図1・図2と同じで、左から(転入数ー転出数)の多い順

  • 縦軸は年齢ごとのパターンが見やすい自動目盛りにつき要注意

このグラフを見る基本知識としてつぎの点を指摘しておく。

  • 15~19、20~24は、男女とも進学や就職で転出が増える傾向にある

  • 20~24は、女性の転出が増える傾向にある

図4以降のグラフから言えること:

  • 美瑛町と(下川町を除く)他の町の違いは、子どもの流入(純増)である

  • 美瑛町と他の町の違いは、15~19、20~24の大きな流出を、こどもと25才以上の流入で均衡させていること・・東川町、当麻町、比布町、下川町、東神楽町

  • よって、なぜ美瑛町でこどもの流出が流入より多いか?いまの子育て政策が自己満足に陥っていないか。なぜ結果が出ないか他の町村との比較のなかで追求しているだろうか。

  • また、25才以上の流入がなぜ増えないか?新しい移住政策が他の町村との比較で競争力があるだろうか。結果に時間はかかるだろう。しかし、移住政策の筋がいいかどうかは、問合せ件数が飛躍的に伸びたかどうかですぐわかるはずだ。

  • これらのグラフを男女に分けて分析することでさらに深い洞察が得られるが、今回は省略した。

Fig-4-1
図4-1 美瑛町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン

4-2
図4-2 東川町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン

4-3
図4-3 当麻町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン

4-4
図4-4 比布町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン

4-5
図4-5 下川町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン


4-6
図4-6 東神楽町の(転入数ー転出数)=純増の年齢別パターン

Noriaki Gentsu @NorthQuest

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