最近は読者からフィードバックをいただけるようになり、ありがたいことです。その中のひとつをご紹介し、一緒に考えたいと思います。
あるフィードバックの要約
いただいたコメントの主旨はつぎのようなものです。
諸問題を正確に捉え、全体を調整しながら解決に向かう人材が必要
個別の問題のスペシャリストの集合では対応できない状況が顕著化している
優先順位とか中長期の思考も必要で、どこから着手すべきか悩ましい
全く同感です。個々に核心をついています。そしてその奥にあるのは、全体として何が重要な問題かわからないと。
しかしこれは役場も同じ悩みだと思います。そいういうシステムになっていない(縦割り)ということです。役場が悪いのではなく、誰も答えを教えてくれない問題に直面しているいま、自分たちが何を優先して、どのように向き合うべきかまだ見えていない状況にあるということなのです。
そこを切り抜けていくために、自治基本条例をつくって町民・議会・行政が協働しようとしている段階だと思います。
まちづくり総合計画の問題点
そう考えたとき、ポイントはどこから手をつけて町民・議会・行政が協働するかだと思います。(これはコメントの最後で指摘いただきました。)
その答えの糸口は第6次総合計画の構成の弱点から説明することができます。説明のため、下図↓↓を使います。この図は、(No.136)速報・美瑛高校の事例研究ー(1)で使ったものに赤字で加筆したものです。
いま、地域社会の持続という最大の課題に対して、(産業・経済)(人口)(生活環境)の3つのサブ課題に分解して向き合うとします。
総合計画では、(人口)以外のサブ課題について特出しで、到達すべき目標(KGI※)と道すじ(マイルストーン※)の記載がありません。
なのに下図↓↓の3段目にぶら下がる165の個別施策を多大な労力を使ってPDCAを回している状況です →必要に応じて下記↓↓のまちづくり委員会ファイルを参照
そして議会はこの165の個別施策につながった予算を短時間で審査します。このときも3つのサブ課題について到達すべき目標(KGI※)と道すじ(マイルストーン※)に照らして議論する場面はないようです。
◆KGI(Key Goal Indicator)は重要目標達成指標。165の個別施策を集約して最終的に達成する大きな目標。ひび割れ、漏れバケツ、将来負担額、住民の幸福度など
◆KPI (Key Performance Indicator)は重要業績評価指標。現在165の個別施策のほぼすべてに数値目標が設定されています。ただし途中年度の目標(マイルストーン)がありません。
◆マイルストーン:もともとは道標。四国四十八か所や東海道五十三次のような旅の目標。いまはマラソンの目標タイムラップが相当。そこでの時間や達成内容を表します。
到達すべき目標(KGI)と道すじ(マイルストーン)とは
読者のコメントの「優先順位とか中長期の思考も必要で、どこから着手すべきか悩ましい
」に立ち返ってみましょう。
これは、総合計画の165の個別課題をひとつひとつつぶしていけば、持続的な(産業・経済)(生活環境)(財政)という上位にある、到達すべき目標(KGI)と道すじ(マイルストーン)に自動的につながるように設計していないためです。マイルストーンとは、KGIに到達するまでの時間的な道筋を双六(すごろく)のように分解したものをイメージしてください。
KGI、マイルストーンはどういうものか?
総合計画の人口の目標がそれにあたります。下図↓↓には2030年と2040年のKGIとマイルストーンがあります。これにより移住定住促進計画ができ、具体事業を促進し人口の社会増減が良い方向に変化しています。
クリック(タップ)で拡大します。ダウンロードできます。
KGI、マイルストーンの必要なものは?
これに対して、持続的な(産業・経済)(生活環境)(財政)という上位のサブ課題について、到達すべき目標(KGI)と道すじ(マイルストーン)が町民・議会・行政で共有されていない状況です。今回は簡単にそのことがわかる項目だけ指摘して終わりたいと思います。
町内産業のひび割れに対する総合戦略 ~これは下記ブログで説明しましたので参照してください。 (No.112)戦略なき計画は困る!|第6次総合計画に期待する-(2)
生活環境(社会インフラ)と財政の総合戦略 ~これは下記ブログで説明しましたので参照してください。 (No.128)町債と基金の動きと将来負担を増やすリスク|町民参加で役立つ町政の基本知識-③
将来負担の推定に基づく、財政運営 ~これは下記ブログで説明しましたので参照してください。 (No.132)研究レポート(2)~将来負担に着目したら、自主財源と基金積立に行き着いた|町民参加で役立つ町政の基本知識ー⑤
KGI、マイルストーンがないと何が困るの?
結論だけいうと例えばつぎの場合に町民・議会・行政のコンセンサスが得にくい、または回避できたはずの対立が生まれると考えられます。
美瑛高校の町立化や小学校の統廃合に直面したとき、財政の制約が見える化(共有)していない場合 →結局、将来なくなるものに投資
従来の補助金・助成金を縮減して、駅前活性化やアウトドアツーリズムなどの成長分野に投資しようとするとき、財政の制約が見える化(共有)していない場合 →結局、両方とも中途半端な投資
などなど。以下、省略します
また、持続的な(産業・経済)(生活環境)(財政)という上位のサブ課題を、到達すべき目標(KGI)と道すじ(マイルストーン)から成るように設計しそれを細分化していく方が、ピラミッドをひとつひとつ積み上げていくように165の個別課題に対処するよい成果が得やすいと考えます。
今回はここまでです。次回はすこし別の視点でこのコメントのフォロー記事を考えます。
2024-2-4 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する
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