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執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.147)あれから5年、青い池はまだ障がい者には遠かった|バリアフリー研究①

5年前、車いすの妻と行った青い池、バリアに阻まれて順路の終端から少し覗いて帰った夏。先日、元気になった妻と来週にも行こうかと下見に。観光用に大きく変容した駐車場。しかし車いすで池の畔にアクセスでるようになっていればとの淡い期待ははずれました。

2024-9-4 am
青い池 2024-9-4 am

5年前と変わらない車いすのバリア

せっかくチェックした車いすから見た青い池のアクセスについて改めて、5年前(2019/8)といま(2024/9/4 8:30amごろ)の比較でレポートします。


結論は5年前と同じで、車いすのひとは池の畔の水辺から青い池を見ることはできません。


しかしこのまちが、自治の多様性尊重の原則や共有ビジョンを掲げて前に進んいるいま、この問題にもういちど向き合ってほしいとの思いがあります。

  • 介護のひとがついて行楽や買い物に来ている人をよく見かける。中心市街地の町民コメントも障がい者グループホームの要望が多いとのこと。

  • つまりより良く生きる(ウェルビーイング)ためのまちづくりの裏付けとして、バリアフリーの技術を考える必要がある。

  • 議会で、青い池で作業員が冬に滑ったとか駐車場の渋滞で細々と行政を追及したり、「誰ひとり取り残さない」と理想を掲げることはあっても、青い池で弱者を救済するといった話はあまり聞かない


本レポートは以上の思いから弱者の一例として、介助者がひとりついた車いすのひとにとって青い池にどのようなバリアが存在するか、大きくつぎの3つの視点で考察します。

  • 車から降りて池の近くまでアクセスするバリア(売店に行くスロープ)

  • 池の畔の遊歩道に降りてアクセスするバリア(基本設計がそうなっていない)

  • 車いすなどの弱者にどのようにこの施設を楽しむことができるかといった情報のバリア


5年前と同じですが、上の3つの視点に分けてチェックポイントをレポートします。



車から降りて池の近くまでアクセスするバリア


Checkpoint-1 半減した駐車スペース:〇

5年前に比べ、障がい者駐車スペースが6台分から3台分に減った分がバスの駐車スペースとなりました。しかし混雑時にこのスペースの優先が守られれば位置的にも台数的にも旭川駅前のイオンやASHの駐車場と比べて同等と言えます。

写真1
階段の上からみた障がい者用駐車スペース


Checkpoint-2 池の入口の順路に立ちはだかる急な階段:×

ここは5年前と同じ。障がい者はこの順路は行けません。左のスロープから順路を逆行するルートでの評価を行います。

写真2
車から降りてすぐ急な階段が立ちはだかるー車いすはここをあきらめて左側のスロープを使います。

Checkpoint-3 売店に行くスロープを行く:〇

5年前の写真と比べてスロープの位置と傾斜が変わったかもしれません。その点は置いて、この状態で介護者が一人で車いすを押して行くことはできます。但しつぎの改善事項があります。

  1. 上り傾斜の対応:この距離と傾斜を一人でノンストップで押すのはきついです。(エスコンフィールドの障がい者駐車場からTower11 Gateに行くスロープと同じくらい)・・・途中で車いすが休める平面スペースを右側に2-3か所設置したいものです。

  2. 下り傾斜の対応:この傾斜では介助者は(凸凹や小石などのショックで)車いすのひとが前に飛び出さない細心の注意が必要です。バックで降りる、順方向にジグザグに蛇行して降りるのが最善ですが混雑時はそれができません。

写真3
写真3-階段をあきらめたひとはこのスロープを上っていきます。青い池の入り口には遠まわりですが。

そのほかに、杖で行く人など弱者に対する基本的配慮としてつぎの必要性を指摘したいとおもいます。

  1. 左右の両方向に、二段構えの手摺が必要です。(下の、Checkpoint-4のような)

  2. 途中でひと休みできる2-3か所のベンチが必要。



池の畔の遊歩道に降りるときのバリア


Checkpoint-4 売店から戻って順路の入り口に行ってみた:×

5年前と同じ。スロープで売店に行き、戻って順路の入り口に行ってみました。5年前と同じで車いすで降りられません。車いすを4人ぐらいで持ち上げて降りたとしても先の遊歩道に難路が待ち構えるので、介助者ひとりのときはこの順路はあきらめることになります。

写真4
下から見た、順路の池の入り口となる急な階段は車いすではとてもいけない。


Checkpoint-5 車いすを寄せ付けない遊歩道:△~×

5年前と同じ。Checkpoint-4でなんとか車いすを青い池の遊歩道におろしてもその後はこの道を進まないといけません。車いすの前輪が白樺の根っこでブロックされると障がい者は前に放り出されてとても危険です。車いすを後ろ向きに進めるしかありません。Checkpoint-4と併せて基本的に車いすで順路のとおりに行くのは断念します。ポイントは、順路の途中でこの遊歩道に降りて池を身近に感じられる配慮が可能かどうかだと思います。

写真5
車いすにとって木の株やでこぼこの石が危険。車輪がつまづくと前に掘り出されるからそういうところはバックで動かします。


Checkpoint-6 車いすはここから行ってねってこと?:△

5年前と同じ。車いすで視界を樹々に遮られずに池を見れるところはここしかありません。売店から少しいったあたりからオール砂利道となり車いすには本当に厳しく、随所で車いすをバックで引かないといけないといけません。行った先はブルーリバーとの合流点で池の美しさはほとんど味わえません。いまの作りでそこまで苦労して車いすでいくかどうか悩むことになります。

写真6
車いすでいけるただ一つの道は左のはずれにあります。長い砂利道を苦労していっても池の美しさは苦労に見合ったものにはなりません。

Checkpoint-7 車いすはここから見てねってこと?:△

これは5年前にはなかったです。つくりからして車いす用に意図した場所だと思います。しかし前の樹にさえぎられて世の中で標準となっている池の美しさは見えません。また何の掲示もないことから車いすのひとに自信をもって提供した場所ではないのだろうと感じました。


これは車いすのひとのためのスペースかな?
これはベンチがないから、車いすのひとのためのスペースかな?


Checkpoint-8 車いすがここから降りられたらいいな(提案)

今回、車いすで池の畔に降りられる地形がひとつ見つかりましたので町に提案してみようと思います。ここで車いすのひとが池の畔にアクセスできれば、たとえば慈光園からマイクロバスで行楽に来たひとたちが青い池をバックに思い出の記念写真が撮れる、素晴らしい状況が生まれます。

売店から少し行ったところに車いすが池の畔に下りられそうな地形がある
売店から少し行ったところに車いすが池の畔に下りられそうな地形がある

上の写真を逆方向から遊歩道に立ってみたもの
上の写真を逆方向から遊歩道に立ってみたもの。階段を取り壊して、赤い矢印の経路で車いす用のジグザグのスロープを設置する。右側の保護柵はオレンジ色まで拡張して車いすの観賞用スペースをつくる。車いすの操作性をみて、左の道路も少し幅を削る必要があるかもしれない。


車いすなどの弱者にどのようにこの施設を楽しむことができるかといった情報

これは施設にとって最上位の概念ですが、現状の青い池は弱者にそのようなメッセージは伝わってこない印象です。逆にいうと、それができればユニークな観光地として全国に誇れる可能性もあると思います。


まとめ

  1. 中心市街地の構想でバリアフリーリゾーンの検討がうたわれています。

  2. ひとことでバリアフリーといっても多様(※)です。今回の介助者つきの車いすは弱者にどこまで対応するかの基準となりえます。

  3. しかし個々に考えると難しいので、何をもって美瑛標準のバリアフリーと呼ぶかという試行錯誤が要りそうです。多様な障がい者に設計を検証してもらってから施工するといった仕組みやプロセスができればと思います。


(※)杖で歩くひと、電動車いすで行く人、車いす(介助あり・なし)のひと、片側の手足がマヒで不自由な人、車いすから(介助あり・なし)で少しは立ち上がれるひと、など様々な障害の形態があります。


 

今回はここまでです。

2024-9-07 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する

 
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