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執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.99) コロナ下の音楽療法|叱責事件|9月定例会一般質問




「町職員が偉い人の名誉をおとしめた」かどうか、いわゆる音楽療法の叱責事件が9月議会で取り上げられた。そもそも、集団で歌わないというコロナ予防の違反への注意だったのでは? そこを飛ばし、職員が大先輩に声をあげて礼を欠いと問題視する。小学生から老人までコロナから生命を守っているいま、特別扱いの議論が必要なのか?



質問の概要

6番中村倶和議員の質問(行政機関のあり方について)の質問の主要な項目は次のとおり。

  1. 参加者に対して町職員の「叱責」があったとされているが、事実関係を調査するべきではないか。

  2. 講師からヘッドマイクの使用を提案されていたものの、職員が使用を拒んだとされているが、その経過と理由は何か。

  3. 今後の再開に向けて、関係者と更に協議する考えはあるのか。


問答を聞いて感じること

残念ながら、音楽療法の再開を待ち望んでいる利用者の思いからずれた議論となった。


  • 議員の議論の前提は、叱責があったかどうか。ついで、マイクの使用を拒否した理由、再開に向けた協議へとつづく。

  • 町長の答弁の前提は、感染予防のため歌わないルールで再開した。ついで、叱責はなかった、マイクが参加者の歌を誘発しないため、音楽療法の効果があるので状況が改善し次第、再開したいとつづく。


問題の発端となった町民(特にシニア)の命を守る感染予防ルールの視点を横に置き、もっぱらそれを注意した職員の(権威あるひとへの)態度や、役場の対応のありかたに終始した。


このような偏った前提の質問の行き着く先は次のようになってしまい、ひいては町民全体が教訓として得るものはないのではないだろうか?

  • 仮に、調査で職員の叱責を認定し、役場の謝罪があったとしても、本質の音楽療法の再開も、公共施設において町民の命をまもる感染予防の議論も深まらない。

  • つまり、感染リスクがあるとされている声出しの歌唱を誘発しかねないマスクやマイクの使用について両者が一致しない。

  • 公共施設における役場の予防指導に町民が異議を唱えてもよいといったメッセージを与えてしまう。

Noriaki Gentsu @NorthQuest


 

質問と答弁(参考まで)

※以下は9月定例会の会議録から関連部分(6番中村倶和議員の二つ目の質問のみ)抜粋したもの。1番目から3番目の問答の区分けの見出しを付し、筆者の論点の根拠とした部分に下線を付した。


 

ーー総括部分ーー


○6番(中村倶和議員)

ー前半省略ー

二つ目の質問です。行政機関のあり方について、質問の要旨、国内外の情勢が激動化し難題の山積している中、行政は、ますます難しい舵取りを迫られていると認識しています。今こそ町民と行政が一体となって力を合わせなければなりません。

町長は、町長選挙の公約の中で「町民が主人公」と約束されました。これは、地方自治にとって普遍的な命題でもあります。そのために、何よりも行政は信頼を基礎としなければなりません。信頼なくして行政なしであります。

さて、地元新聞にも掲載されていましたが、7月に実施された音楽療法の現場において残念な事例が発生したと聞いています。


そこで、以下の3点について伺います。

(1)参加者に対して町職員の「叱責」があったとされているが、事実関係を調査するべきではないか。

(2)講師からヘッドマイクの使用を提案されていたものの、職員が使用を拒んだとされているが、その経過と理由は何か。

(3)今後の再開に向けて、関係者と更に協議する考えはあるのか。

質問の相手は町長です。


○町長(角和浩幸君)

―前半省略ー

質問事項2点目、行政機関のあり方について答弁を申し上げます。音楽療法につきましては、平成28年6月から介護保険新総合事業のモデル事業として開始し、平成29年度からは一般介護予防事業として実施しており、本年で5年目を迎える事業です。事業の実施に当たっては、音楽療法士の指導の下でカスタネットや鈴などの楽器でリズムを取りながら、昔懐かしい唱歌や民謡を歌ったり、歌に合わせて体を動かしたりするもので、この活動を通して心身を活性化し、介護予防を図ることを目的としております。

本年度の事業実施については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、4月からの実施を見合わせ、休止期間中に音楽療法士と感染予防対策について協議するとともに、楽器の消毒や参加者の歌唱制限、ソーシャルディスタンスの取り方などについて確認し、7月から事業を実施したところです。


1点目につきましては、音楽療法士との事前の打合せに基づき、音楽療法開始前に感染予防のために歌唱をしないことなどを担当者より参加者へ説明しましたが、その後は音楽療法士の主導の下で実施しており、議員からの御質問にある内容とは異なる事実にあります。


2点目及び3点目につきましては、7月の事業実施状況を基にして8月の事業実施に向けた話し合いを行っており、その際にはヘッドマイクを通して音楽療法士が歌うことで参加者の歌唱が促されることへの危惧について確認し、マイクを使用しないでタオル体操や楽器使用を中心とした歌唱を促さないようなプログラムに配慮することについて協議の上、事業を進めたところです。また、今後の再開については、新型コロナウイルス感染者の発生状況や感染対策等を十分に考慮し、安全な事業の実施が可能になった状況で再開することについて、関係者に対して既に依頼したところです。

いずれにいたしましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に万全を期しながら各種介護予防事業を実施している状況であり、音楽療法についても同様に地域の感染状況等も踏まえて、今後の実施について検討していきたいと考えております。以上でございます。


 

(1点目、職員の叱責について再質問)


○6番(中村倶和議員)

―前半省略ー

それでは次の質問に移ります。行政機関のあり方についてですね、1点目、職員の叱責について質問を続けます。そもそも音楽療法とはですねその前提としてですね、高齢者やデイケア利用の町民に対して、音楽の力によって心身の障がいや機能改善及び生活の質的向上を図る療養と聞いております。これによって健康生活を維持し、介護の抑止につながると、そういう効果が立証されています。平成28年から毎月およそ2回から3回、いきいきセンターを中心に開かれてきました。そこで、町長の回答についてお尋ねします。町長は質問にある内容とは異なる事実があると回答されました。そこでお聞きします。異なる事実とは叱責はなかったという意味合いでしょうか、お伺いします。


○町長(角和浩幸君) 議員ご指摘の通りの解釈となってございます。


○6番(中村倶和議員) はい、6番中村です。音楽療養士、以下、講師と略しますが、私はですね講師からお話をお聞きしています。それによれば7月28日の音楽療法の実施中に担当職員が大声で「声を出さないでください。でないと中止しますよ。」と叱責したと。会場は一瞬で凍りつき、療法は中断したと講師はおっしゃっています。つまりですね、講師と保健福祉課の主張は真っ向から異なるものです。これは単に、言った言わないという単純な言い争いではありません。行政の信頼の根幹に関わることが懸念されるからです。こうしたですね両者が全く異なる主張している場合は、町長はですね、町は公正な聞き取りをしなくてはならないと思います。そこでお聞きします。叱責はないとお答えになった根拠ですね、両者から聞き取って結論付けたのか、または片方だけから聞き取って結論付けたのか、どちらでしょうか、伺います。


○町長(角和浩幸君) はい、講師の方からもお話は賜っております(※)。また、当日におりました美瑛町職員、あるいはボランティアで携わっている方、参加された参加者等からのお話を伺っております(※筆者注:11月30日町議会第8回臨時会にて町長が一部修正)


○6番(中村倶和議員) もしもですね、叱責がなかったということであればですね、講師側や参加者の聞き間違いなのか、あるいは事実と異なることを主張しているということになってしまいます。どのような認識でしょうか。


○町長(角和浩幸君) 私が今お話できますのは、先ほど申しました講師の方(※)、当日参加の町職員、そしてボランティア、参加者の方々のお話を調査をさせていただきまして出た結論でございます。(※筆者注:11月30日町議会第8回臨時会にて町長が一部修正)



○6番(中村倶和議員) はい、伺っておきます。人はですね、緊張のあまり大声を発することは、私にとっても往々にしてあり得ることです。しかしですね、その場合ですね、相応しくない、そういう発言をした場合には失礼しましたと、これはすぐそれで済むことなんですよ。講師はですね、こうおっしゃってます、大先輩への礼を欠く言動であったと思わざるを得ないと、こうおっしゃってるんですよ。これは音楽療法中の中止説明書の中に記載されております。これは参加者に配っておりますから、公の文書です。だからこそ両者からしっかり聞き取り調査をしなくてはならないと、そう思いますけども、どのような認識ですか。


○町長(角和浩幸君) 担当課といたしまして、このようなご指摘もございますので、今回改めて、その時の関係者にお話を聞かせていただきました。そのことによりまして、今回の答弁の内容となっている次第でございます。


 

(2点目、ヘッドマイクの使用についての再質問)


○6番(中村倶和議員) はい、6番中村です。次の2番目の質問に移ります。ヘッドマイクについてお聞きします。講師がですねヘッドマイクの使用を要求した理由を私は講師からお聞きしました。理由は大まかに三つあるんです。一つ目は、会場が広くてヘッドマイクなしでは声が届きにくいと。幅が広いんですね、会場も広いです。二つ目は、講師はマスクとフェイスシールドを着用してました。そしてエアコンが動いており、さらに声が聞こえない訳ですね、聞こえる人もいるかもしれませんけれども、大方聞こえないんですね。三つ目は、参加者が声をききとれないために音楽療法の効果が上がらないということだったんですね。そこで講師は7月29日、これは7月の最後の音楽療法の日でしたが、その音楽療法の後の打ち合わせで担当者にですね、ヘッドマイクの使用は必須であると訴えました。しかし、担当課は8月からヘッドマイクの使用は禁止すると一方的に宣告したとお聞きしました。つまりですね、ヘッドマイクを使用しないという合意はなかったんですね、この7月29日の時点で。町長の答弁の中でですね、マイクを使用しないで事業を進めたところですと回答されましたが、これは事実と異なるのではないでしょうか。伺います。


○町長(角和浩幸君) 回答させていただきましたのは、マイクを使用しないでタオル体操や楽器使用を中心とした歌唱、歌を歌う事を促さないようなプログラムに配慮することについて協議をした上で、事業を進めたということでございます。マイク使いますと、参加者の方からどうしてもやっぱり歌いたくなって歌が出てしまう、声を出して合唱のような状態になってしまう、そういうことが起きてしまいますので、マイクの使用というのはいかがでしょうかという趣旨のお話を担当者との間で進めたというところの事実経過でございます。足りなければもう一度、お聞かせください。


○6番(中村倶和議員) 29日の協議、話し合いの中でですね、結局折り合わなかったものですから、講師はですね、ヘッドマイクの使用をお願いするために、7月31日、最後の日ですね、町長に面談しましたと聞いております。その際、町長はですね、こうおっしゃったんですね、マイクを使用しないでよくなったそうですね、そう報告を受けていますと発言されました。

これは講師から伺った話です。つまりですね、講師の意向と異なる内容が町長に報告されているということになります。これはですね、担当課と町長の間の何らかの行き違いなのか、またはそうではないのか、何か理由があるのか伺います。


○町長(角和浩幸君) 今議員おっしゃられた私の発言とされる部分でございますけれども、その部分自体が、私はそう話したのかどうか、ちょっと確認のしようがないところでございますけれども、事実関係の流れとしましては、7月末に講師の方と担当課の方で議員おっしゃった通り協議がありました。その中で、マイクを使ってしまうと、どうしても歌の声が出てしまいますね、これどうでしょうか、これで良いんでしょうかというお話し合いがありました。その後に私のところに来られたのか、その前なのかは私はそこは分かりませんけれども、その中でお話し合いをさせていただいた、講師と話し合いをしたのは事実でございます。それが7月末です。そして8月入ってすぐの音楽療法では、マイクを使用して音楽療法を行っております。

そしてその週一杯の音楽療法はマイクを使用した上で行いまして、それ以降につきましては、中断にしましょうという風に合意をしているという事実の流れでございます。


 

(三点目、再開に向けた再質問)


○6番(中村倶和議員) はい、伺いました。それでは最後の三つ目の質問に移ります。今後の音楽療法の再開に向けてですね、これから協議されていくことと思います。そこで、音楽療法に対する認識が鍵になるのではないかなと思います。その効果の認識ですね。ここに講師による報告書がございます。ここに、赤いファイルになっておりますけれども、これは相当分厚いものです。この中ではですね、平成28年から昨年まで4年間の毎年の報告と、それから今年8月までの中間報告です。これが内容となっております。これを拝見しますとですね、音楽療法が科学的に細かく分析され効果が示されております。その効果があるからこそ音楽療法の再開を待ち望む声が講師に多数寄せられているんです。こういう現状をどのように町長は認識されているのか伺います。


○町長(角和浩幸君) まず1点、お答えさせていただきますのは、8月の音楽療法の際に、私も初めてでしたけれども、実際に参加をさせていただいて、どのような形で進められているのかを身をもって体験してまいりました。そしてその場で会議が終わった後、講師の方とお話をさせていただきまして、その時点で、その次の週からはまた一端中止をするという話が決まっておりましたので、今週で一旦、音楽療法終わりますというお話をした時に、ぜひ、今はコロナがある状況の中で、様々な難しい面があって実施したくても出来ない面がございますけれども、ぜひ状況が落ちつきましたら、また音楽療法を再開してくださいということをその場で講師の方にお願いをしたところでございます。その前提となりましたのが今ご質問だと思いますけれども、音楽療法の効果でございますけれども、私も講師の先生から数々の数値化されているデータを拝見しました。多くの方が喜んでいただいておりますし、認知症などに対する効果も数字上からも認められているという、音楽療法としての科学的な効果も得られているという風に思っております。講師の方、音楽療法士の方も実演として音楽療法するだけではなくて、そのような効果を図っていくというところまで目配せをしてやっていただいて、具体的な効果についてのデータをさらに蓄積をしていただいております。これは美瑛町の介護予防事業にとりまして大変意義のある大きな事業であると思っておりますので、先にも先生には、ぜひ再開してくださいとお願いを申し上げましたけれども、状況が改善し次第、またいつものように音楽療法を続けていただきたいという風に改めてお願いにまいるという、そういうような思いでも、今おります。以上です。


○6番(中村倶和議員) はい、6番中村です。質問を続けます。町長はですね、これは当然のことなんですけど、行政の意思決定権をですね、町民から委託されました。これは正しく行使する義務とですね責任があることは言うまでもありません。今後の音楽療法の取り組みに当たってはですね、行政組織を町長がしっかりと掌握して、町長の方針を指示していくと、当然なんですけれども、これが重要だと思いますが、ご認識をお聞かせください。


○町長(角和浩幸君) はい、ご指摘をいただきました通り、まず役場庁舎内の意思疎通、意思決定の過程につきまして、より一層、私が責任を持ちまして、各担当課、担当職員との話し合いを進めて、何らかの意思決定を図っていくように努めてまいります。また、もちろん町民、町外の方との関わりにおきましても、私も責任を持って協力していただける町民の方々との間に入りまして、双方、お互いに町のため町民のためという思いで皆さん取り組んでおりますので、良い思いを一つにして一体となって町民、町、組織一体となって行政が進むようにさらに努めてまいります。


○6番(中村倶和議員) はい伺いました。それでは最後、お聞きします。町長はですね、回答の中でこう述べております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止にですね、万全を期しながらと答えました。当然のことと思います。しかし、ある公共施設ではですね、カラオケ大会が開かれ、一本のマイクが代わる代わる手渡しされていると、ある町民から聞いています。音楽療法のコロナ対策とはあまりにも異なると、その町民は怒っています。どのような認識でしょうか。


○町長(角和浩幸君) 中村議員、今のご指摘は実は今初めてお伺いをいたしました。そのような事実があるのかどうなのか、実態はどのようなものであったのかを調査をいたしまして、適切に対処するようをいたしてまいりたいと思います。


○議長(佐藤晴観議員) 6番議員の質問を終わります。


以上、引用終わり

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