冬の観光の魅力を発信するため青い池と白ひげの滝のライトアップが行われているが、道の公式統計(注1)をみるかぎり経済的な効果を見出せない。ライトアップの華やかな側面が強調され、多額の公的予算も投入されている。単なる冬の風物詩に終わらせないために、関係者は事業効果について合理的な説明責任を果たす、および新たな企画を連打して相乗効果を高めるなど、質の高い経営をめざすべきである。
データから考えること (グラフはクリックで拡大)
(上図左) 月間入込数のグラフ。ライトアップを実施しなかったH25比較で、初年度(H26)の1月に大きな効果が認められる。H26の2月、H27の11月~3月は1万人~2万人の増加(H25比較)が認められる。H26からH27の変化をみると、成長はとまった、初年度のブームは消えた、H27から実施の白ひげの滝のライトアップの相乗効果は認められない。
(上図右) 月間宿泊客延数のグラフ。ライトアップを実施しなかったH25比較で、H26とH27の宿泊客延数に成長はない。
(下図) 外国人冬季宿泊者のグラフ。ライトアップを実施しなかったH25比較で、H26とH27の実施した月(〇印)の増加が上向きの矢印で明らかに認められる。
経済効果の考察
上記1.2.により、入込数の1万~2万人の増加が宿泊客延数の増加につながっていないのが問題である。よって、入込客がライトアップを見たあとに市街地で消費行動をとっているか検証が必要である。
上記3.よりライトアップ期間のH25比較の外国人宿泊者は、H25は1800人増、H26は4000人増、2年間の合計が5800人増である。この間のライトアップ事業予算は合計2736万円、よって宿泊客ひとり増やすのに4700円も使った勘定となる。
2年目で成長がとまった。勘定が合わない。民間であれば3年目は中止するはずで、ライトアップに近い白銀温泉商店街でも自己資金ではやらないレベルである。そのなかで3年目も公的予算を投入するからには、関係者はもっと知恵をだす責任がある。たとえばライトアップと、層雲峡温泉の氷瀑まつり、洞爺湖温泉の花火のような長期イベントを温泉街で実施して相乗効果を図ることも考えられる。
by Noriaki Gentsu @NorthQuest
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参考文献 注1)北海道の観光入込客数調査報告書ー平成27年度 (北海道経済部観光局)
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