あらすじ
広報・丘のまちびえい11月号の記事~「丘のまちびえい」観光のいま~ について(注1)
観光に対する町民の理解度を調査(注2)する地ならしの記事だが、いつも聞き飽きた内容ばかり。しかも表現はひとごとのようで、課題の設定もあいまいで、成果が出そうにない。
観光に対する町民の意識は「観光マスタープラン」の策定ではっきりしたはず。――観光客が農地に立ち入る問題を解決する。観光が広く町民にもたらすメリットを具体的に明らかにする。
課題解決の道すじを示さず、前田真三氏と十勝岳の恵みの神話めいた話を今さらもちだして、何のため誰のための観光か。もっと経済的な成果にこだわるべきだ。
ひとごとの表現
観光客の増加が住民の生活に影響するのは美瑛だけでない。たとえば京都やフィレンツェでも具体的な規制を行ったと報じられている。つまり行政が動いて、住民のメリットとデメリットを調整しているのだ。
ところがこの記事では、地域課題の解決というマネジメントの視点がほとんどない。だれが責任もって動いてくれるかわからない。以下、その根拠となる部分を引用してコメントする。
<引用> “しかし私有地である畑に入り写真を撮影する観光客が後を絶たず、・・・・・中略・・・・・マナー周知、観光マップへの注意喚起を行っていますが、改善には至っていない状況です。” ~「時代の変化とともに」より
―<コメント> それはわかっています。だからどうするか論じないと。
<引用> “美瑛町は農業の町です。・・・・・・・・・・農業と観光が共存していくことが大切です。” ~「今後の展望」より
―<コメント> ここで言う共存とは、農家が折り合えという意味に限りなく近いのではないか。もし違うなら、共存とはどういう状況を実現することでしょうか。
<引用> “そのために、「丘めぐりマナー」の周知を徹底する必要があります。・・・・・・・中略・・・・・外国人観光客へのマナー対策も急務となっています。” ~「今後の展望」より
―<コメント> それはわかっています。だからどうするか、延々とやってきたマナー対策の効果がなかったことの分析から始めないと。
<引用> ”「丘のまち美瑛 景観・写真フォーラム2017」の中で美瑛の課題を世界に発信し、美瑛を応援いただいている方々と写真マナーやルールづくりを進めることを宣言しました。写真家と巡る撮影ツアーや写真コンテスト、SNSなどでの意見交流を通じて、農村景観の大切さを共感しながら取り組んでいければと考えております。” ~「今後の展望」より
―<コメント> 取り組んでいければではなく、やって成果を出してもらわないと困ります。
<引用> ”このような交流を通じて、潜在している美瑛の良さを発見し、新たな観光スポットが生まれることを期待しています。” ~「今後の展望」より
―<コメント> 期待していますとは、誰かほかにやるひとをあてにしているのでしょうか。
まとめ
「今後の展望」といいながら、ひとごとのような表現で課題解決の道すじをしめしていない。すくなくとも自分が資金を出して観光事業を起こす気持ちで町民に説明してほしい。
そもそも、観光マスタープランで住民の観光に対する理解度をたかだか10ポイントあげる目標がおかしい。農地の問題を解決する、投資に見合う経済効果で町を豊かにすると約束すれば、反対する町民などだれもいない。
by Noriaki Gentsu @NorthQuest, びえい未来ネット
参考資料
(注2)観光マスタープランの目標指標が美瑛町民の観光に対する理解度を10ポイント向上させるとなっている。(2020年度に対2017年度比で)→美瑛町観光マスタープラン案 2017-02-28 第4回WG
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