あらすじ
将来を見たまちづくりには、課題思考が要る。このまちに欠けているものだ。
課題の設定とは、「現状」と「実現したい目標」のギャップを見える化すること。町民が目標を共有できるメリットがある。
これなしに単年度の事業をおこなうのもよいが、長いあいだに問題が蓄積するリスクもあるので、長期と短期の課題のバランスをみたまちづくりが重要だ。
課題とはなにか (図36-1)
課題とはなにか、わかりやすく説明する。
多くの問題のなかから解決したいものを選ぶ ~中核的な問題を抽出
「現状」と「実現したい目標」のギャップを見える化する ~比較と検証が可能
実生活において問題と課題の区別は必要ないが、問題といえば、「あらかじめ設定してある目標」に達していない意味になる。課題といえば、これから達成したい目標を意志表示している。
60点の合格ラインに対して55点で不合格だったのが問題
いまは55点の実力だが。再チャレンジで75点の実力をめざす目標を立てて達成しようとするのが課題
とくに、課題における目標は個人差がある。自分のチャレンジ目標を75点に設定するひと、あるいは80点に設定するひとがいる。ひとによって課題の目標が違う。まちづくりにおいて課題を設定することは、町民が目標を共有するという効果がある。
課題思考と行政
単年度の事業を執行する行政組織にとって、予算獲得と事業配分が目的であり成果となっている(注1)。つまり図36-1で目標がなくても事業と予算で仕事ができる。もし目標を持ち出すと、つぎのように面倒なことになるから課題思考は行政にあわない。
行政にとって不都合な、現状や将来予測の問題を公開しないといけない
実現したい目標の数値化、将来予測グラフなど公開しないといけない
それらを公開すると、あとで費用対効果の検証、未達のときの対応などで自分の首を絞める
行政にまかせているから短期的に必ずしもわるいことではないが、毎年繰り返すと、長期的に人口減少と縮小財政という制約条件ではリスクが増える。決めた世代はいなくなって将来の住民に問題が残る。それは困るから中長期のバランスをとって課題をマネジメントしなければならない。
まとめ
美瑛町の上位計画(注1)において、中長期のまちづくりのだいじな課題が欠落しているもの。
人口減少と縮小予算の条件で、「足腰の強い産業づくり」の課題。―現状でも低成長。
人口減少と縮小予算の条件で、財政の将来負担に関する課題―。現状でも過大な地方債残高。
人口減少と縮小予算の条件で、公共施設とインフラの維持に関する課題。―現状でも過大な資産と維持費。
課題、すなわち将来の目標や見通しをもたずまちづくりを語ることはできない。近隣の町村においては、関連した報告が多くある。この差がいつか住民にはねかえってくるかもしれない。
by Noriaki Gentsu @NorthQuest, びえい未来ネット
参考資料
(注1)P.F.ドラッカー「マネジメント」ダイヤモンド社
(注2)「第5次まちづくり総合計画」-1 -2、「美瑛町まち・ひと・しごと創生総合戦略」、「美瑛町人口ビジョン」
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