あらすじ
2040年問題は、自治体が財政と住民サービスを維持できるかという点に行きつく。人口減少により歳入が減る。教育・医療・介護・公共施設・産業など主要分野の歳出を減らす。もしその時点で、国の給付と返済積立でまかなえない地方債(ローン)の将来負担が残っていたら、将来世代は厳しい負担にさらされる。よってこのブログで、美瑛町の財政計画が超長期の課題に耐える信頼性があるか検証した。結果、3-5年の中期計画でも問題があるとわかった。
V字で増え続ける地方債
図48-1は美瑛町一般会計の地方債残高の推移を示す。出典:「美瑛町財政運営計画」
H24に底をついたあとV字で増え続けた・・・点線の枠の部分
国指導の美瑛町財政健全化計画(H19~H23)が終了してから増え始めた
原因は借入が増えたこと
地方債が近ごろV字で増え続けた原因は、主に図48-2に示した借入額の増加による。ーー点線の枠の部分
計画の信頼性を検証する
国指導の財政健全化計画が終わったとたん地方債が増えた。毎年の議会で承認した「美瑛町財政運営計画」はどうなっていたか? 答えを求め、つぎの分析を行った。
図48-3は年度ごとに地方債残高の計画と決算を比較したもの。横軸のある年度に着目して、5年前にたてた5年計画(紫色)から3年前にたてた3年計画(緑色)、そして当年度計画(赤色)までどう変遷したか、(翌年の)決算(青色)がどう着地したか棒グラフで比較した。――出典:「美瑛町移財政運営計画」
H25からH28のあいだ、5年計画と決算が大幅にかい離した
H25からH28の5年計画はH20からH23に作られた
つまり、国指導の美瑛町財政健全化計画(H19~H23)のあいだにつくった5年計画は、時が過ぎたら守られなかった
とくに、H26からは3年計画(緑色)も守れない事態となった。
原因はやはり借入が増えたこと
上に示した地方債残高の5年計画と決算のかい離は、つまるところ図48-4の借入額の変動による。とくに、H26からは計画年度(赤色)の計画すら(翌年の)決算で大きく増えている。
財政運営計画の信頼性
以上に示したとおり、地方債の残高や借入額の5年計画が6年後に決算で大きく狂っていた事実。これをどう理解すればよいか? おなじデータを別の切り口で再確認してみよう。
図48-5はある年度の地方債残高を一本の折れ線グラフにあらわして、横軸の左から右に、5年前の5年計画から3年前の3年計画、そして当年度計画と(翌年の)決算までの推移を示した。
下の図48-6は借入額について同じように示した。するとわかったことは、
借入額の決算(H25-H28)は、5年前の5年計画より平均で12億円増えた
借入額の決算(H25-H28)は、3年前の3年計画より平均で6億円増えた
まとめ
2040年問題 2040年ごろ、人口減少や高齢化で、国や自治体の行政の運営が最も厳しい人口構成になる。そこで想定される状況を2040年問題という。医療・介護・教育の行政サービスの対象者が変動する、高度成長のもと建設したインフラの老朽化などがある。このとき自治体の財政が持続できるか、町村単独で住民サービスが維持できるか、見極めようという動きになっている。(注1)
財政の持続性は、人口増加を前提に肥大化した財政を、2040年時点を見通した内容に軌道修正する動きとなっている。自治体に2040年の住民サービスまで考えたマネジメントが求められている。(注1)
美瑛町の2040年問題は、地方債(ローン)の将来負担がポイントとなる。人口減少により歳入が減る。教育・医療・介護・公共施設・産業など主要分野の歳出を減らす。もしそのとき、国の給付と返済積立でまかなえないレベルの将来負担が残っていたら、いまより縮小した予算しかない将来世代は厳しい負担にさらされる。
このブログは、美瑛町の「財政運営計画」の信頼性に問題があることを示している。3年~5年スパンの地方債の計画が守れていない。減らすべき情勢のなか逆に増やしている。そうした行政と議会に、22年後の2040年問題をまかせられるだろうか。
2040年問題に対して美瑛町の中核の課題はつぎのとおり。「景観の維持」や「美しい村の運動」あるいは「担い手育成」などの個別の課題は、つきつめるとおなじ課題にいきつくだろう。
上川管内で最も突出した将来負担を2040年にかけて減らす:関連ブログー (No.27) 将来負担が突出した美瑛の財政
広大な土地のインフラや、肥大化した公共施設を2040年にかけて維持する:関連ブログー (No.26) 中身の乏しい計画
by Noriaki Gentsu @NorthQuest, -びえい未来ネット
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参考資料
(注2)美瑛町財政運営計画 →Web
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