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(No.51)町民の課題解決パワーこそ最高の地域資源~美瑛

最終更新: 2019年9月22日



あらすじ

  • 美瑛町異業種人材育成研修「地域課題解決プロジェクト」―10月20日開催

  • 人材育成と地域課題解決の目的で5回目の実施。美瑛町に採用してもらいたい事業アイデアの提案が優先し、課題解決プロセスとしては荒っぽい。企業と町民のためにならない。見直しが必要だ。

  • 地域課題の解決は町民が主役、音頭を取るのは役場という原点に戻ってほしい。町民の衆知を結集した課題解決パワーこそ、人口減少の困難を克服する最高の地域資源でないだろうか。それに沿った見直しだ。  

本プロジェクトのありかた

人口減少の美瑛町にとって町民の衆知を結集した課題解決パワーこそ最高の地域資源と考える。景観という地域資源をまもるのは町民の英知だから。

企業レベルの課題解決の手法を活かしてほしい地域ニーズと、複雑な地域課題を題材に人材育成を図りたい企業ニーズの相乗効果を期待したはずだ。ところが、つぎの意味で課題解決とかけ離れ、事業アイデアコンテストに近い。

  1. 抽象的で複雑な課題に対し、ひとつの解決策のみ提示したーー現実はあり得ない

  2. そのため課題ー解決策ーアクションプランの整合が取れないーー解決は期待できない

  3. 課題と解決策にKPIを設定していないーー解決したかわからない

テーマもひとも毎年かわるが「農業と観光の連携」の課題に触れ、そのあとは「美瑛町に採用してもらいたい事業アイデア提案」に突き進む。参加者と町民の双方にとり、つぎの意味で残念なことだ。

  1. 企業の参加者は、人材交流はともかく、複雑な問題の事例研究の機会を活かしきれない

  2. 町民からみれば、地域の根深い問題を大企業の社員に解明してほしい期待がはずれる

行政に対し、地域課題解決は町民が主役、音頭をとるのは役場という原点に戻ってほしい。町民のWorkShopで論点を整理し、異業種のかたに外部の目線で事業アイデア、あるいは調査で協力をお願いする。そういう協働のかたちはできないものだろうか。

本プロジェクトの美瑛町ホームページヘ

課題解決の方法にもとづく提案の評価

  1. 課題解決の提案を評価する方法のなかから代表的な3つを最下部に掲載した。

  2. このうち「課題ー解決策ーアクションプランの整合性の検証フレーム」をつかって各チームの報告を以下に可視化した。

  3. 検証フレームは企業によって変わるが、「課題と解決策の論理的につながっているか、成果が期待できるか、予算を投じるべきか」という視点は共通している。

  4. なお各チームは「アクションプラン」を実行しないので、オペレーションの関係「本当に実行できるか」は省いた。

  5. 「Aチーム “丘”yelliプロジェクト」にコメント

現在の課題。農業と観光の共栄によって美しい町の持続を目指すための提案。はじめの問題の特定がずれたため、課題の設定、解決策もずれてしまった事例――解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題設定

  • 「農地をまもる」と「農業と観光の共栄」が両立する解があるか、つまり「観光客が増えても農家のデメリットは増えない」という仮説がなりたつかという課題です。妥協とか制限の条件をいれないと解がないのでは? 少なくとも農家にカネを渡すとか、感謝の言葉を贈るという次元ではない。

解決策

  • 仮に農家にカネを渡すとして、この募金の収支で、必要な資金と投資額が賄えるのか?

  • なぜスマートフォン決済システムでなければならないか?観光税、観光業界からの協力金、駐車料金など他の選択肢を検討したか?

  • 応援メッセージは、既存のSNSも検討したか?

「Bチーム 美瑛deインターン」 にコメント

現在の課題。外国人の観光マナーの問題を解決しようとしている。

問題の特定と解決策の整合がとれないので、問題が解決しない事例――解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題設定

  • 問題の特定が不十分:「美瑛ルール」を含め現状の発信内容と方法の問題を特定しないまま、「お国柄での違い」と決めつけた飛躍がある。

解決策

  • 期待効果が非常に抽象的で成果を評価できない。観光客のマナーの評価尺度をどうする?クレーム数の増減でみるとか?

「Cチーム VRガイド付きサイクリングツアー」にコメント

現在の課題。問題の特定と解決策の整合がとれない。期待効果も記載がないので、問題は解決しないだろう。「VRガイド付きサイクリングツアー」という答えが先にある事例―解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題設定

  • 拡大する市場において、対応の問題と自治体の取り組みの差による機会損失がどれほどか特定する必要

  • 要因がそれだけと断定してよいか?旭川、富良野、トマム、ニセコなど競合地域における民間資本の動きの方が支配的でないか?

解決策

  • 問題を特定しないまま、VR付きサイクリングツアーというプロダクトアウトの答えがある。AIやIoTを使った観光地における既存システム、また将来的な可能性を調べたか?ニセコや富良野など先進地域の事例を調べたか?

  • 台湾のWebプロモーション600万円は、得られた新規顧客がもたらす収益でペイするのか?

Dチーム KUアプリの開発(CODE for BIEIの実現)にコメント

現在の課題。問題と解決策の整合を深く検討しないまま、新しいテクノロジーという答えをだした事例―解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題

  • 受診率50%は近隣の町村と比べてどうか調べたら、問題の切り口が絞られるのではないか?美瑛だけが特別低いのか、社会全体として低いのか?それによって課題設定(目標値)かわる

解決策

  • 検診を受けなかった理由のすべてについて、仮説と打ち手の期待効果を検証する、そのうえで実行しやすさも含め解決策を選ぶプロセスが普通。先にアプリがあるからそのプロセスが止まる。

  • アプリは検診を受けない理由のどれを解決するか?つまり、アプリで得るデータと受診率の相関はあるか?

「Eチーム MEET UP BIEI」にコメント

将来にむけて課題。データによる外部環境、アンケートによる内部環境の分析によって、表面的ではあるが問題点と解決策を淡々と繋いでいる。新しいとりくみにつきある程度の成果は期待できる事例―解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題

  • 調査によって、外国人観光客とのトラブルや拒否反応の要因が町民の国際交流の有無と関係することを導いたのは適切。

解決策

  • 町民と外国人観光客が出会う場を創ることで、生活に溶け込んだ国際交流を実現するという自然なロジックに沿った提案

  • 町民のセグメントによって課題と解決策がことなるかもしれないことに留意する

  • 従来にない取り組みのため、適切なKPIで成果を検証フィードバックすれば発展形が期待できる

「Fチーム BAC(Biei de Asobinagara Comunication)ジュニア」にコメント

将来に向けての課題。国際化時代に対応できる人材を育てる方策を提案している。ただし、次元の違う複数の課題を国際化のきりくちでひとまとめにし、解決策もひとつとと整合が不完全な事例―解説を参照   提案内容PDFヘ



ーーー解説ーーー

課題

  • ひとり当たりの外国人観光客の比較対象が、なぜ美瑛と北海道と東京なのか。美瑛に近い市町村を調べないと出発点をあやまる可能性がある。

  • 現実に起きているトラブルからくるネガティブイメージ、外国人と触れあう機会がない、国際化時代に対応できるこどもを育てるという、時間も次元も違う課題の解決策はそれぞれ別になる

  • これらを関連付けて扱うと論理が破綻する

解決策

  • いまない取り組みだから、適切なKPIでフィードバックすれば一定の成果はあるとおもう。

  • BACジュニアの外国人と触れ合う機会(異文化コミュニケーション)なら、ほかの選択肢もたくさんあるので、小さなイベントを先行してニーズの検証とノウハウの確認をおこなってもよいのでは?

  • 例えば、札幌のアメリカ領事館に来てもらってイベントを開催する、北大の留学生に美瑛に来てもらう、美瑛の外国人にお願いしてトークセッションをおこなうなど

by Noriaki Gentsu @NorthQuest, -びえい未来ネット

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参考資料

1.課題のパターン化

  • この図に必要な要素を書き込むと、なにをどうしたいかはっきりできる。的外れでチグハグな議論を避け、効率的な話し合いができる。

  • ひとが課題と言ったことが、本質をとらえているか見分けることができる。


2.課題(ギャップ)を埋める要因と解決策にKPIを設定する手順

  • 「観光客のトラブルを減らす」という課題のばあい、農地に侵入する被害と交通の妨げのトラブルに分解し、農業観光エリアごと国籍ごとに分解し、それぞれに最適な解決策とKPIを設定する。問題の尺度がわからないと、ひとによって問題の判断がことなるから。完全なものはないが、課題解決に重要なコンセプトである。


3.課題ー解決策ーアクションプランの整合性の検証フレーム

  • 3つの要素の整合がとれているか判断するために活用する。一般に抽象的な課題は複数の小課題に分解されるから、解決策は小課題に対する解決策を集合したものー複数になる。複数の解決策に分解するほど、具体的なアクションプランに落とし込めるので、予算や体制との連動を検証できる。


4.これら3つのプロセスは通常、同時並行的に行われる。

5.現状の問題の分析

  • これについては多くの手法があるので、別稿にまわす。たとえば、類似の事例との差を比較する、時系列の変化を見つける、要因ごとの影響度合いを評価するなどがある。

#観光戦略 #農地観光

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