あらすじ
2018年3月の国の推計によれば、2045年の美瑛町の人口推計が6,146人となる。われわれの未来をいま覗くことができる情報だ。これから未来の課題を読み取り、現在と未来のバランスのとれた政策に活かしていく、未来志向のまちづくりを始めるときだとおもう。
最新の人口推計
図1は、国勢調査にもとづき国が向こう30年間の人口推計したものを、過去4回分かさねて表示した。2045年の先も減少は止まりそうもない。また、2010年と2015年国勢のグラフはほぼ一致していることから、この傾向は固まり、否定できないものとなっている。
美瑛町人口ビジョン
2016年3月の「美瑛町人口ビジョン」の目標は 7,981人(2040年)
2016年3月の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改定作業に入っているが、人口に関する目標指標の達成は難しい見込み。戦略の基本が早くも崩れていないか?
総合戦略の改定作業で、戦略の基本は変えないとのことだが、それでいいのか、議論に使えるデータ分析を行ったので、以下に説明する。
政策の検証の方法
国の人口推計の「男女・年齢(5歳)階級別」の推計結果を使い、政策に関係する年齢層の変化を5年ごとに追いかける方法を検討した。戦略や政策の検証の手がかりとなる。
(図1-1)のグラフの説明
(青色)のグラフは2010年国勢による0~4歳の推計結果
(緑色)のグラフは封鎖人口(※)を仮定した0~4歳の推計結果
※封鎖人口: 出生と死亡のみを考慮して推計したもので、流入・流出の影響を計るために用いられる。 若年層は死亡がすくないことから、実質的に出生(少子化)の影響をみることができる。
2本のグラフから、少子化と人口流出による影響を切り分けることができる。(図1-1)
(緑色)のグラフは、人口移動がないので、2010年~2,040年の0~4歳人口の少子化の見込
(青色)のグラフは、少子化と流出の見込を含む
(緑色)と(青色)のグラフのギャップは、人口流出の見込
(図1-2)のグラフの説明
5年後の推計データを同様にグラフ化し、前回のグラフと比較して変化を求める。
(赤色)のグラフは今回2015年国勢による0~4歳の推計結果
(緑色)のグラフは封鎖人口を仮定した今回0~4歳の推計結果
(青色)のグラフは前回2010年国勢による0~4歳の推計結果
3本のグラフから前回からの変化を求めることができる。(図1-2)
(緑色)のグラフは、人口移動がないので、2015年から2,040年の0~4歳人口の少子化の見込
(赤色)のグラフは、今回の推計による少子化と流出の見込を含む
(緑色)と(赤色)のグラフのギャップは今回推計による人口流出の見込
(青色)から(赤色)への変化は、前回から今回にかけ少子化の見込みが改善
幼児の年齢層0~4歳の2040年の人口推計は
前回から大きな改善がみられるが、減少傾向はつづく
少子化と流出がともに影響。流出がなければ緩やかに安定に向かう。
(緑色と赤色の差)の人口流出の事情を、住民票のデータで調べる必要がある。
5-14歳の推計データ
図2は、小学から中学の年齢層5-14歳の2040年の人口推計が、2010年国勢から2015年国勢にかけてどう変化したか見る。(なお、各色の説明は「幼児の年齢層0~4歳」のグラフと同じ)
小学から中学の年齢層5-14歳の2040年の人口推計は
前回から大きな改善がみられるが、減少傾向はつづく
流出が影響。それがなければ緩やかに安定化に向かう。
(緑色と赤色の差)の人口流出の事情を、住民票のデータで調べる必要がある。転校の事情など。
15-24歳の推計データ
図3は、高校から大学・就職の年齢層15-24歳の2040年の人口推計が、2010年国勢から2015年国勢にかけてどう変化したか見る。(なお、各色の説明は「幼児の年齢層0~4歳」のグラフと同じ)
高校から大学・就職の年齢層15-24歳の2040年の人口推計は
前回と大きく変わらず、減少傾向が続く
少子化と流出ともに影響
(緑色と赤色の差)の人口流出の事情を、住民票のデータで調べる必要がある。
20-39歳女子の推計データ
図4は、年齢層20-39歳女子の2040年の人口推計が、2010年国勢から2015年国勢にかけてどう変化したか見る。(なお、各色の説明は「幼児の年齢層0~4歳」のグラフと同じ)
年齢層20-39歳女子の2040年の人口推計は、
前回と大きく変わらず、減少傾向が続く
流出のみが影響。それがなければ、2040年までは安定化する。
(緑色と赤色の差)の人口流出の事情を、住民票のデータで調べる必要がある。
20-39歳男子の推計データ
図5は、年齢層20-39歳男子の2040年の人口推計が、2010年国勢から2015年国勢にかけてどう変化したか見る。(なお、各色の説明は「幼児の年齢層0~4歳」のグラフと同じ)
年齢層20-39歳男子の2040年の人口推計は、
2030年以降の流出傾向が前回より大きく悪化。
流出のみが影響。それがなければ、2035年までは安定化する。
(緑色と赤色の差)の人口流出の事情を、住民票のデータで調べる必要がある。
総人口の推計データ
最後に図6は、総人口の人口推計で、少子化と流出の要因がわかるグラフを示す。(なお、各色の説明は「幼児の年齢層0~4歳」のグラフと同じ)
まとめ
1.「人口推計の変化」を見ることは、「5年間の社会と政策の動き」を見ること ー図7
「5年間の政策と社会の動き」に影響を受けて「過5年間の人の動き」が変化する
それを人口推計のアルゴリズムをとおすと、「人口推計の変化」となる
2.人口減少を緩和する戦略は、流出と流入、出生を切り分けて考えるべきだ。
流出をめる: 現在の流出の内訳?歯止めをかける有効な政策?適正な目標値?
流入を増やす:現在の流入の内訳?歯止めをかける有効な政策?適正な目標値?
出生を増やす:出生率を上げても、流出人口に歯止めがなければ意味がない。子ども連れの若い家族の流出を止め、流入を増やす政策に特化すべきだ。
Noriaki Gentsu @NorthQuest.net
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