
あらすじ
地方創生はいままで解いたことのない応用問題のようなもの。役場という、あらゆる情報と専門家が集まった頭脳集団の政策形成能力がカギを握る。この時代の要請に合わせ、役場の役割や機能、そして思考回路を変革してもらいたい。
地方創生は未知の応用問題
「人口問題の克服」と「地域経済の活性化」をテーマとした地方創生は、国に言われてやるものではない。美瑛町の「未来につなぐまちづくり」そのものだ。
これは、今まで解いたことのない応用問題。役場という、あらゆる情報と専門家が集まった頭脳集団が、まちづくりのプロセスを能動的にリードできるかどうかにかかっている。
問われる課題設定能力
現状とあるべき目標を課題設定し、町民に説明し、意見を聞く、まちづくりプロセスのリード役を期待したい。
いままで役場の役割は、予算を獲得し配分することがメインだった。発生した問題に対し、対策予算の配分と執行を行い、完結した。
つまり、問題の現象の奥にあるものを分析し、仮説をたて、施策の有効性を検証するなどの科学的アプローチは必要なかった。
その証拠に、予算の配分と執行だけで解決しない複雑な問題は、先送りされてきた。(農業の人手不足、観光客の農地侵入、観光客消費単価のアップ、若者の流出など)
問われる政策形成能力
地方創生はいくつかの複雑な地域課題がさらに絡み合っているから、役場の縦割り組織では歯がたたない。こうなると、縦割りの専門性と組織横断の柔軟性を備えたプロジェクト対応が適している。そのうえで、役場が複数の政策シナリオを町民に示し、まちづくりのプロセスとシナリオをまとめるオーガナイザー役を期待したい。
ちなみに、まちづくり委員会で審議中の「第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略」については少し残念な状態になりつつある。たとえば、なぜ住民がこのまちから転出するかといった根本を押さえず、縦割りでデータを集め、計画書の構成を決め、もう作文が始まっている。流れ作業でこのまちの未来の政策が決まっていく現実を委員として目の当たりにしている。
見えない障壁
役場に期待される役割と機能のほかに、目に見えない壁の配慮も必要だ。
難しい課題や政策にチャレンジすることが評価されなければならない。政策の失敗を認めることが評価され、放置することが問題だする、新しい組織風土を醸成する。
地方創生の政策はときには町民の痛みを伴う。役場の不都合な情報があとになって出てきた、とならないよう情報公開条例の「但し書き」を大胆に削除すべきだ。
Noriaki Gentsu @NorthQuest
◆起業や地域の問題解決を目指す若者にむけ、「北の若者塾」を始めました。 https://www.blog1.northquest.net/
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