町民と役場のあいだの、宿泊税の反対論に接して思うこと。当面の利害から反対するひと、役場の説明態度に怒って無力感に陥るひと、そして多数の無関心なひとがいること。町民意見を聞くだけでなく反対意見の向こうにあるものを考える必要があるだろう。

目次
2025-02-22 一部の字句の修正または追記。
町民参加はよくなっている
わたしは今年度になって町民コメントを8回書きました。参加して次のことに気づきます。
役場が町民にコメントを求めるテーマが増えたこと。コメント数も増えたこと。
役場は大きな案件はひとつのテーマで2回の町民コメントをしたこと。
役場が町民コメントにつけた説明情報量が多いこと。
情報共有はよくなっている
町民が意見を言えるように十分に早い段階からテーマの情報が提供されています。
東部地区コミュニティーは、R8/4の供用開始にたいして、R5/6に議会説明が始まったこと。
観光税は、R6/7に検討委員会の情報公開が始まったこと。
中心市街地活性化事業は、R6/3からまちづくり委員会への説明が始まったこと。
事例1)町民に意見を訊く前提がおかしい(パークゴルフ)
R6/9/30にパークゴルフ場を現状の4か所から2か所に減らすことについて町民コメントの募集がありました。財政の健全化を訴えて選ばれた町長がようやく公共施設の簡素化に乗り出したなと思いました。しかし町民コメントの説明をみてびっくり、タイトルが「パークゴルフ場の活用について」となっていたのです。要は利用の少なくなったゴルフ場をやめて他の用途に活用すると言うのです。事業を減らしてまた増やすと言うのです。
その3日前、町長がSNSで「第1回美瑛町行財政改革推進本部会議・・・将来にわたり町民の皆さまのための役場であり続けるため、健全な財政運営が不可欠です。前例にとらわれない姿勢で臨んでまいります。」と発信したことと真逆です。
担当課は町民になぜこういった訊き方をするか?削減というと町民の反発があるから活用としたほうが聞こえがいいと思ったのでしょう。財政の健全化とか持続性という理由はひとこともありません。
案の定、町民コメントではゴルフ場の削減は賛成、そしてこんな施設にしたらいいねと夢のあるアイデアが多く出されました。幸い町の将来の財政はハッキリは知らないが安心できるものではないと多くの町民が暗黙のうちにわかっているため、意見の大半は削減に賛成の意向でした。
このエピソードから、「いままで使っていただいたゴルフ場の閉鎖もやむ負えないこととなり誠に申し訳ございません。今後の財政の見込みはこうなっていることもご理解ください」という基本姿勢に欠けていることがわかります。これではゴルフ場を減らしてほしくない人に「しかたないね」と言ってもらえるのは難しいでしょう。
事例2)町民に意見を訊く前提がおかしい(宿泊税)
ゴルフ場でなく町民の事業に関わることはもっと深刻な対立に発展します。宿泊税の議論がそれにあたります。
近ごろ宿泊税に反対するひとのお話を聞く機会がありました。わたしは観光業でないため賛成なのですが、反対のひとの理由を知っておきたかったのです。
主なものはこんな理由です。
なぜ宿泊業だけなのか。取りやすいところからとるのか。観光業に関わる業者からも公平にとるべきだ。民間からとらずに公共のトイレとか施設でお金を取ったらいい。
安い宿泊料金の宿は値上げになって客が減る。
宿泊税の算出根拠がいい加減だ。だいたい、町長は財政は健全だと言っている。
これにわたしは反論を述べさせてもらいましたが、ほかの反対理由がつぎつぎに返ってきます。役場が説得するのは無理でしょう。終わりがありません。
議会ではよく「もっと時間をかけて説明して」と議員は発言します。宿泊税の反対に対してそれは何の解決にもなりません。反対であげた手を下すタイミングと理由がないからです。なぜか?
それは、専門委員会副委員長の青木教授が警告した「自分たちの負担する地方税は歳入の9.5%しかなく全国平均の12.4%を大きく下回る」という事実の意味について役場からの説明がないからでしょう。「近い将来こんなこともあります。これは初めのケースですが影響を受けて申し訳ありません。ご理解とご協力をお願いします。お金には代えられませんが負担の保障は十分いたしますので・・・」と説明すべきなのだと思います。
町民に何を説明すべきか
今後の町民参加の前提となる基本知識の共有が必要です。
まずは昨年9月27日に始まった「第1回美瑛町行財政改革推進本部会議」が何を話しあっているか知らせるべきだと思います。パークゴルフ場の削減や宿泊税の導入のもととなった情報です。
そういった行財政の基本を説明したうえで担当課の課長や係長が目の前の案件を町民に説明し理解と協力をお願いすることが必要でしょう。パークゴルフ場と宿泊税は序の口の気がします。北見市のようにステージ4になってから大騒ぎするより、いまのうちに健康状況を町民が知っておくのがよいと思うのですが。
つぎのような基本的な心配事について役場はどう答えを出そうとしているか知りたいところです。町民はいまのままが当たり前と思っているからとても難しい作業となります。
町立病院はこのまま存続できるか否か?できないなら町民の選択肢は何か?
小中学校の統廃合は必要か否か?必要ならどう進めるか?
作り過ぎた公共施設はこのまま維持できるか否か?できないなら町民の選択肢は何か?
衰退した産業に投資する方向か、新たな産業を興す方向か?中心市街地はどちらのコンセプトでいくのか?
肥大化した補助金行政を適正化する必要があるか否か?あるならどう進めるか?
議員は町の財政の実態を知っているか?
役場は町民に何を説明すべきかで述べたことは、そのまま議員さんにも当てはまるようです。議員さんも情報がなくて本来の役目が果たせなくて困っているようです。令和6年12月定例会の一般質問から抜粋してみましょう。
行財政改革推進本部会議で扱う財政改革と観光税の関係は?
町有財産の利活用について
持続可能な観光税・宿泊税の経過説明が議会に対して町民コメントの前になかった
白金保養センターの存続について
観光税の提言書の「町財政の厳しい状況」「自治体経営上の危機」対する町の説明責任
まとめ
町民生活に関わる難解で大きなテーマが増えています。財政健全化や持続的な財政運営といった理想と、老朽化した水道管や白金保養センターの話が混在した判りにくい現状となっています。
町民参加や情報共有が良くなるほど情報に敏感な少数の町民は、不十分な情報に反応し、反対とか不安が広がるケースが増えます。情報不足では説得はできません。
こういった関心ある少数の町民には説得ではなく、基本情報によって理解を深めることです。それは少しずつ町民全体に理解が拡がっていくでしょう。
皆さんはどう思われますか?
今回はここまでです。
2025-2-21 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する
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