
はじめに
地方自治の先進地、ニセコ町の情報共有と町民参加について実践事例を調べた。判ったのは、自治の実践が先行して、自治基本条例(日本初)はあとに来たこと。絵にかいた餅でなく、25年ほど実践している。ここに学ぶところがあると思う。
ニセコ町の実践の重要項目
まちづくり町民講座ー 1996年(H8)から通算で193回の開催。恒常的な情報共有と住民参加の場。参加の町民と職員がともに学ぶ場。詳細は下記に
予算説明資料「もっと知りたいことしの仕事」ー 町民参加に必要な行政の情報を町民に共有する冊子。1995年度(H7)から全戸配布。詳細は下記に
以上から、ニセコ町のまちづくりの注目点は、
自治の基本(情報公開と住民参加)の目玉となる制度が、自治基本条例(2001年、日本初)の5~6年前から実践されはじめた。経緯
結果として、実践する項目と自治条例の条文(制度設計)が連動している。
自治条例ポケットブックを町民が共有している。
美瑛の条例見直しの視点
以上を考えたとき、美瑛が進めている現行条例の見直しで必要なステップがが見えてくる。
たとえば、
現行条例で設定した目標レベルと、実際の実践レベルのギャップを評価する。
これからの時代に合わせた新しい実践レベルを設定する。
新しい実践レベルの制度設計、実践、条文化を連動する。・・条文が先ではない。
以下、ニセコ町の取り組みの詳細を報告する。
まちづくり町民講座
この講座は、常設の情報共有と住民参加の場となっている。
1996年(H8)から通算で193回の開催となっており、2020年度(R2)(4回)、2019年度(R1)(12回)と、町民と役場をつなぐ活動として定着している。
参加の町民と職員がともに学ぶ場となっている。
詳しい内容は、ニセコ町のホームページ(まちづくり町民講座)によれば・・
役場職員(担当課長や係長)が講師になって、町民に自分が担当している分野の現状や課題を知らせ、町民といっしょにその課題について議論する場となっている。
町民が町の現状や実態について理解を深め、町の将来に向かっての課題を共有することをめざしている。また、参加の町民と役場職員がともに学ぶ場となっている。
講座の進めかたは、前半に役場職員が町の課題について説明し、後半は参加の町民と意見交換、議論をする。これは、自分の仕事について町民に分かりやすく説明する力、対話する姿勢、意見をまとめる能力を養うと言う意味で、役場職員の研修の場としての役割も果たしている。
また、より専門的な話題などは外部から招いた講師の話も聞き、参加の町民と講師、役場職員が一緒に議論することも行っている。
予算説明資料「もっと知りたいことしの仕事」
町民参加に必要な行政の情報を町民に共有する冊子。
1995年度(H7)から全戸配布されている。上のまちづくり町民講座と同時期に開始。
事業名と数字だけからなる行政の予算書に替え、町民向けにすべての事業の内容について説明するもの。
町の仕事(事業)を、「第5次ニセコ町総合計画」(平成24~35年度)に沿って、11分野に細かく分けられそれぞれの分野別に紹介。
町民に町の仕事(事業)を知り、関心をもってもらえるように、工事の時期や行事や健診の日時などのスケジュール、申込方法や対象者、詳しい内容などの情報を記載するなど、生活便利帳としての機能も取り入れている。
実物
令和2年度版「もっと知りたいことしの仕事2020」(本編154ページ、資料編39ページ)
ニセコ町役場は、予算説明資料の特徴を次のように説明している。
特徴(ニセコ町HPより)
この予算説明書は、その年の目玉事業や主要な施策だけでなく、すべての事業や町の財政状況について掲載しています。つまり、町にとって都合の良いことだけでなく、すべてをお知らせしています。例えば、町の借金(町債)や貯金(基金)の額、町長や職員の給料の状況、他町村との比較なども「資料編」に掲載しています。また、事業は予算書の費目ごとに掲載するのではなく、総合計画に基づいた区分(教育、環境、福祉など)で分類し、予算がどのように使われるのかを説明しています。
まちづくり基本条例では、満20歳未満の町民のまちづくりに参加する権利が保障
将来を担う子どもたちと共に、それぞれの視点でニセコ町のまちづくりを考え、子どもたちの参加を目的に「小学生・中学生まちづくり委員会」及び「子ども議会」を設置(詳細は省略)
以上
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