あらすじ
2015年から2040 年にかけて財政収支が15億円悪化するという試算がある。教育・医療・介護・公共施設・産業など、自治体行政の主要分野で2040年ごろに想定される課題を整理しなければならない。その危機に立ち向かうリーダーシップが必要だ。人口減少が問題ではなく、すでに見えている「2040年問題」から目をそむけることが最大の問題だ。公共施設の維持管理費の事例をつかって問題を考える。
公共施設等の収支
上図47-1に、美瑛町の公共施設等の運営費の収支をあらわした。(注1)
歳入は、利用料収入
歳出は、運営費と修繕費などの、維持費。グラフはマイナスで表示。
青色の歳入が横ばい、赤色の維持費は10年間で25%増加した。
上図47-2に、おなじく上図47-1の歳入から歳出を引いた収支をあらわした。10年間で赤字が77%増加した。この間、人口は13%減少している。
上図47-3は、おなじく上図47-2の収支が10年のあいだ積みあがった累積赤字が、じつに31億円に達したことをあらわしている。この数字の大きさはつぎの比較でイメージするとよい。
直近の年平均の地方税収入は10.25億円
平成28年度一般会計の歳出の決算額が116億円
※図47-2で2008(H20)年度の情報が公開されていないため、2007(H19)年度とおなじ収支と仮定し図47-3の累計収支を求めた。(2018.8.15追記)
従来の考えの限界
公共施設等の建設について従来、「有利な条件の国の補助事業かどうか」で判断し、決めてきた節がある。それは公式の記録にもある。その結果、
人口の減少トレンドに逆らった、公共施設維持費の増加となった
有利な条件とはいえ自己負担は積み上がるから、上川管内でも突出した将来負担となった(注2)
これらふたつの現実は、確実に将来世代の重荷となる
もちろん、個別にみればないと困るものはあるだろう。しかし、指摘された2040年の財政問題から目をそらし、いまのまま続けることはできない。
前回のブログ(No.46 美瑛町「未来カルテ2040年」ーJST&千葉大学)の20ページにある財政シミュレーションを行政として検証する必要がある。シミュレーションは下の図47-4と図47-5に示した。単位は億円。詳しくは(注3)
2015年から2040年にかけ、一般会計の収支が15億円悪化する
その内訳は、支出が14%減少、収入が28%減少。持続可能でないということ。
すると、公債費は減らせないので住民生活のサービスをカットする流れになる
よって、この問題は待ったなしの課題だ
2040年問題の動き方
2040年問題は、自分の所帯のことを先々考えるように動くことだ。孫も住まないのに三世代住宅を建てるひとはいない。出金(デガネ)を減らし、生きたお金を使うようにする。公共事業に対し、自分の所帯を始末するような感覚を取り戻すことだ。
動かなければいけないことは、
2040年の財政を自前で精査する。とくに、国が市町村に求めた「公共施設等管理総合計画」について美瑛町の計画に重大な不備があるので対処する。(注4)
2040年の収支を持続可能とする、痛みを伴う課題策の提示(ABC管理、事業仕訳)
新たに起業する若者に資金提供するファンドなど、戦略的に資金を使う。公共施設の赤字は何も生まないが、起業なら赤字を回収しリターンを生む。持続可能とはそういうことではないか?
by Noriaki Gentsu @NorthQuest, -びえい未来ネット
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参考資料
(注1)「美瑛町財政運営計画」中の(公共施設等運営費収支決算)。平成28年度決算の見本→クリック
(注2)ブログ 『No.27 将来負担が突出した美瑛の財政』→クリック
(注4)ブログ 『No.26 中身の乏しい計画』 →クリック
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