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(No.159)Update 将来負担の研究-Part-1|町民参加の基本知識⑥

  • 執筆者の写真: NorthQuest |びえい未来ネット
    NorthQuest |びえい未来ネット
  • 7月19日
  • 読了時間: 6分

更新日:7月27日

町の財政は複雑で掴みどころがない。これは将来の町政を目指す若者の悩みです。では将来負担の切り口から徐々に視野を拡げては?と勧めます。実は家計のやり繰りに似ているからです。ローンやクレジットの返済を、積立てた預金で払うか月々の生活費を切り詰めて払うかといった点です。新しい買い物(事業)を決めるもとにもなります。


Fig-0

目次


この研究レポートについて

このレポートは、2023/12から2024/1にかけて投稿した、将来負担の関係の一連の投稿(将来負担の切り口で判ること)のアップデート版です。当時は、自分の勉強の一面もあり、読みにくいところがあります。また近ごろ、読者から最新版はあるかと問い合わせもありました。


そこで今回は、読みやすさ判りやすさを念頭に再編集し、つぎの3つのパートに分けて投稿します。

  1. 最新データ(2023年)による将来負担データの3町比較(Part-1)

  2. 将来負担比率・実質公債費比率を変化させる要因とシミュレーション(Part-2)

  3. 町のホームページでの関連データの参照(Part-3)


なお、将来負担の計算式の図解を本文に挿入しました。


なお、この投稿の最新データとは2023年度(令和5年度)のものとなります。2024年度(令和6年度)のデータは9月議会のあとで入手可能となります。



美瑛町の町債

図1↓のグラフは、一般会計の町債の返済・借入と累計の町債残高を示しています。

FIg2
図1ー 町債残高は、2000年初頭から国の指導の下で削減、2102年から再び増加に転じ2018年にピークに達する。2019年からの新町政の下で大幅に削減する。

美瑛町の将来負担

将来負担の計算式はつぎのとおりです。


図2↓のグラフの見方はつぎのとおりです。(将来負担比率の基礎知識は、将来負担とは?でお読みいただけます。)

  • (A)将来負担額は、図1の一般会計の町債残高に公営企業への繰入見込み額や退職金などを加え、将来この町が支払わないといけない総額です。

    計算式
    計算式につけた数値は2022年(令和4年)の美瑛町のデータです。
  • (B)充当可能財源等は、将来この町が支払いに充てられると見込める総額です。国からの交付金と町の基金積立などを含みます。

    計算式
    計算式につけた数値は2022年(令和4年)の美瑛町のデータです。
  • (A)-(B)将来負担比率の分子は、上記の(A)から(B)を差引いたもので、これが大きいほど将来負担比率も大きくなります。例えば、返済に見込める(B)充当可能財源等が足りなければ、将来世代が一般会計(家計に相当)を切り詰めて返済しないといけないという意味になります。 ※なおここでは説明を簡単にするため、一般に用いられる将来負担比率(%)は使いません。

    計算式
    計算式につけた数値は2022年(令和4年)の美瑛町のデータです。

Fig1b
図2ー 町債の返済に充当する国からの交付金を除く実質の町民負担を表わす(A)-(B) 将来負担の分子は、2015年ころは上川管内の町村のなかでも美瑛町は突出して高いレベルであった。2019年からの新町政の下で大幅に削減し、いまは3町比較ができるレベルになってきた。

東川町の町債

図3↓のグラフは、一般会計の町債の返済・借入と累計の町債残高を示しています。

fig3
図3ー 東川町は2010年からと2022年からの二波に分けた建設事業のために巨額の起債、この間に町債残高を約93億を増やす。しかし、詳細は図4に示したように町債を増やしても将来の町民負担をゼロに近いレベルにコントロールしている。この財政運営は注目に値する。

東川町の将来負担

図4↓のグラフの見方は美瑛町の項↑を参照してください。

Fig4
図4ー 図3で述べたように、東川町は2010年からと2022年からの二波に分けた建設事業のために巨額の起債、この間に町債残高を約93億を増やす。しかしこの図に示す通り、町債の返済に充当する国からの交付金および潤沢な基金を確保することで、実質の町民負担を表わす(A)-(B) 将来負担の分子をゼロに近いレベルにコントロールしている点に着目しなければならない。ここで(A)-(B) 将来負担の分子がゼロに近いということは将来世代に対して借金を残していない、今の世代で支払い済みという意味。

東神楽町の町債

図5↓のグラフは、一般会計の町債の返済・借入と累計の町債残高を示しています。

Fig5
図5ー 東神楽町は、公共施設等管理総合計画の下、近隣に先駆けた総合庁舎の建設のため2021年から多額の起債を実施。町債を増やしても将来の町民負担が増えないようにできているかどうか点に注目。次の図6を参照のこと。

東神楽町の将来負担

図6↓のグラフの見方は美瑛町の項↑を参照してください。

Fig6
図6ー 図5で述べたように、東神楽町は2021年からと2023年の3年で総合庁舎などの建設のため町債残高を30億ほど増やす。これに伴い、町債の返済に充当する国からの交付金および基金を積み増し、実質の町民負担を表わす(A)-(B) 将来負担の分子は14億円の増に抑え込む。起債に見合った基金積立は少し遅れている模様。

まとめ

上の3町のデータを比較して大まかに読み取れることをまとめましょう。


図7↓は3町の将来負担の指標の、2010-2023年にかけての差分をマクロに捉えて比較したものです。

  • 2010年を起点に2023年が減ったら(ー)で表わします。

  • なお、2010-2023年の間のグラフの凸凹はこの分析においては無視できます。

  • この数字から読み取れることを図の下にまとめました。

Fiig-7
図7ー 比較まとめ 2010-2023年の差分を比較したもの

上の表↑の数字を、下の式↓(再掲)と照らし合わせてつぎの解説をお読みください。

計算式
計算式につけた数値は2022年(令和4年)の美瑛町のデータです。

ここからは解説というか、次回のPart-2の先出しのかたちで次の点を押さえましょう。

  1. 東川町は、2010年-2023年で93億円と町債を巨額に増やしたのに、なぜ(A)-(B)将来負担比率の分子を逆に7億円も減らせたのでしょうか?

  2. 美瑛町、2010年-2023年で町債を21億円の減、さらにそれ以外の公営企業などで37億円減らして、将来負担(A)が58億円の減。しかし(A)-(B)将来負担比率の分子は34億円の減にとどまったのは、なぜでしょうしょうか?

  3. 上の↑計算式から、「町債を増やしたら将来負担が増える」、「町債を減らしたら将来負担が減る」という一般の考えを反転させる作用が(B)充当可能基金にありそうです。


次回Part-2は、総工費が20億円とも言われる中心市街地活性化計画を仮に実行するとして、東川町のように将来負担を増やさないための財政の条件を考えてみましょう。


以上で「3町比較の将来負担データの最新版(Part-1)」を終わります。


今回はここまでです。

2025-7-18 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する

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