top of page
  • 執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.96) 美瑛物産公社ってどんな会社?


「観光客が増えたけれど新型コロナによって経営が影響うけた」と根拠のない議会報告となっている。コロナの影響は閑散期の2月3月のみ、影響は微少。・・・ところが、物産公社と活性化協会と観光協会の一体化で、このまちの経済循環と成長のエンジンを目指していると聞く。

あらすじ

美瑛町議会第4回定例会(6/18)に公表された美瑛物産公社の経営分析を行った。ビエール・白金ビルケ・青い池などの事業を優先的に独占し、観光客増でも利益を出せない、民間よりはるかに優遇されたこの会社は、存続に値するのだろうか?


利益を生めない体質

物産公社の2017(H29)、2018(H30)、2019(H31)の営業報告書を引用し、経営概況を<図1>のように編集した。

Fig-1
図1 <物産公社・全体の経営概況> 2017年の既存事業をベースに、2018年に白金ビルケ、2019年に青い池の新事業の新規事業を展開した。

2017年の事業を既存事業としたとき、2018年に白金ビルケ、2019年に青い池を新規事業として立ち上げている。新旧の事業がどんぶりとなった<図1>の経営概況からまず次の点を指摘したい。

  • 観光客が2017年100~2019年141。これに対し、売上総利益(c)は2017年100~2019年133・・・要は観光客の増加しても儲けられない。

  • 儲けられない原因は、売上原価(b)比率が2017年30.2%から2019年40.0%と約10ポイント悪化・・・要は儲からない事業を増やした。

  • 販売管理費(販管費)(d)は2017年100として2019年は136であり、売上総利益(c)の伸び133より多い。・・・要は利益を出せない体質になっている。

  • よって、この会社は(設立の趣旨である)美瑛の産業を牽引しているとは言えない。


<既存事業の分析>


つぎに、上の<図1>の全体から既存事業を推定で切りだすと下の<図2>のようになる。(方法は図の脚注を参照)

Fig-2
図2 <物産公社・既存事業の経営概況の推定> 図1の全体から既存事業を推定で切りだす。  前提➀ー2017年は既存事業の売上原価(b)比率30.2%、これは大きな事業構造の変化がなければ一般に2019年まで同じと仮定できる。よって、与えられた2018年~2019年の既存事業の総売上高(a)から、売上原価(b)と売上総利益(c)を推定できる。 前提2-同じく、大きな経営リストラがなければ、2017年の販売管理費(販管費)(d)比率70.2%は2019年まで変わらないと仮定できる。以上で図2を得る。

以上から、既存事業の経営分析として言えること

  • 観光客、2017年100として2019年141に急増しても総売上高(a)を伸ばせなかった

  • 売上総利益(c)率69.8%は十分に高い

  • なのに異常に高い販売管理費(d)比率70.2% 。しかも、民間より優遇(※)されているはず

  • よって、営業利益(e)は恒常的な赤字体質である

※売上は、指定管理委託料の優遇。費用は、減価償却費なし、家賃なし(?)、借入金なしの優遇。



<白金ビルケの分析>


つぎに、<図1>の全体から白金ビルケ事業を推定で切りだすと<図3>のようになる。(方法は図の脚注を参照)


図3 <物産公社・白金ビルケの経営概況の推定> 図1と図2を用い、白金ビルケ事業を推定で切りだす。 前提➀-2018年の白金ビルケ事業の総売上高(a)~販管費(d)の4項目は<図1>と<図2>の差分で求めた結果、営業利益(e)を得る。 前提②-求めた2018年の売上原価比率63.9%と販売管理費(販管費)比率28.2% は大きな事業構造の変化と経営リストラがなければ2019年も変わらないと仮定できる。以上で図3を得る。

以上から、白金ビルケの経営分析として言えること

  • 仕入れ品が多いためか売上総利益(c)率36.1%と小売り業並み。・・・既存事業の粗利率を押し下げる格好

  • しかし、販管費(d)を押さえて収益構造としては営業利益(e)を生む体質と推定される

  • 但し、(地場産業に寄与するとした)設立の趣旨に照らせば、仕入れ品に占める美瑛産の付加価値の比率をアピールするとがった経営が必要だろう。でなければ、公的な優遇を受けたみやげ物店に過ぎない。


<青い池の分析>


つぎに、<図1>の全体から青い池事業を推定で切りだすと<図4>のようになる。(方法は図の脚注を参照)


Fig-4
図4 <物産公社・青い池の経営概況の推定> 2019年の青い池事業を推定で切りだす。 前提➀-2019年の青い池事業は<図1>と<図2><図3>の各項目の差分から求めることができる。

以上から、青い池の経営分析として言えること

  • 売上総利益(c)率50.7%は白金ビルケよりよく、付加価値が高い。・・・加工品の販売によると推定

  • しかし、販管費が異常に高いと推定される。~どんな経営をしているか帳簿を見ないとわからない。以下省略。


まとめ


納税者の立場から営業報告書を見ると、この会社に存在意義があるのか?

  • 「観光客が増えたけれど新型コロナによって経営が影響うけた」と根拠のない議会報告となっている。コロナの影響は閑散期の2月3月のみ、影響は微少。

  • 民間に比べ優遇(※)あるのに、新規事業(白金ビルケ、青い池)で成長できない。 ※売上は、指定管理委託料の優遇。費用は、減価償却費なし、家賃なし(?)、借入金なしの優遇。

  • これら優遇の資金のもとは税金。町の事業をほぼ独占で指定管理できる既得権。

  • こんなことなら、事業を分割し意欲ある民間の起業家にはば広く委託するほうが地域経済にはよい。税金も活きてくる。



いまのままこの会社が「まちづくり新会社」の中核となるのが本当によいか

  • ところが、物産公社と活性化協会と観光協会の一体化で、このまちの経済循環と成長のエンジンを目指していると聞く。

  • ならば物産公社の解体的な組織再編が必要・・・主要な事業を民間並みのリストラで収益体質にする。その収益を開発や起業家に投資するなど、新たなミッションの設定。

Noriaki Gentsu @NorthQuest


 

参考資料


閲覧数:475回0件のコメント

関連記事

すべて表示
bottom of page