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執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.140)長期トレンドの課題に町民はどう向き合うか|公共施設の維持費の例

私は2018年(平成30年)に、当時の町政の公共施設の政策に違和感を覚えてブログを書きました。そして今、新しい町政で良い変化が起きたと期待してデータをアップデートしました。しかし作ってしまった公共施設の維持費は減らせないばかりか、増え続けている現実が見えました。



イントロ

2018年(平成30年)のブログ(※)はこれです。(答えは同じなのでこの記事を先に読むことを勧めます)


今回は、将来の町政の担い手を目指している読者の方にデータを見て、考えてみてほしいとの思いからこのブログを書いています。


昨年末に将来負担の一連のブログ記事で財政運営計画の資料の見方を解説したのを覚えていますか?実はその資料の最終ページに『(参考資料)公共施設等運営費収支決算』というのがさりげなくついてるのに気づきましたか?


今日はその令和4年度の資料をコピーして下↓↓に載せましたのでまずは見てください。赤の□で囲った合計値に着目してください。これは36の公共施設について令和3年度に使用料など受益者負担による収入が1.87億円、支出が6.75億円、収支は4.87億円の赤字(=税で負担)だったことを表しています。ただし、公共施設は町民サービスに見合って赤字となるのが通常なので、このデータだけで良い悪いと言うことはできません。


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とはいえ、「人口減少のなかで無くなるものと創り出すものに向き合っていかなければならない」との社会の共通理解があるわけです。そういうことを踏まえて赤字が普通の世界で、どこまでの赤字なら良いのかという問題を一緒に考えることにしましょう。



長期トレンドを見る↓↓

手持ちのデータで遡れるだけ遡って長期のトレンドを見ました。(2008年と2022年のデータは役場が公開していません。特に大事な2022年は要望しましたがダメでした。)


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図1 公共施設等の歳入・歳出
図1 公共施設等の歳入・歳出


収支(収入ー収支)の長期トレンドを見る↓↓

上のデータを収支(収入ー収支)に変換すると見やすくなりました。(2008年と2022年のデータは公開されていません)

増え続けていますね。この先、2040年の未来ビジョンの時期に向けてどうなるでしょう。気になりませんか?


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図2 公共施設等の収支(収入ー支出)
図2 公共施設等の収支(収入ー支出) 2008,2022年データは公開されていない

 

さて「赤字が増えてる」で終わっては意味がないので、次↓↓のように分析してこのデータの値打ちを高めます。こうなると、町民にも意味合いが判ってきますね。

  • 公共施設の維持のため、税金で町民1人当たり毎年5万円負担している

  • それは15年間で1.9万円から2.7倍の5万円に増えた


図3 公共施設等の収支の分析
図3 公共施設等の収支の分析

ここまでの情報で大きな課題を考えてみましょう。

課題:公共施設の維持費のトレンドを2040年に向けどうコントロールすべきか? ①このまま赤字を増やしていいのか ②どこかで横ばいに抑え込むべきか ③どこかで減少に転じるか 


そのときに今後の町財政を圧迫する条件も考慮しましょう。

  • 今まではデフレ、今後はインフレ。費用がさらに増える可能性がある。

  • ゼロ金利が解除され政府の債務が膨張。地方交付税が減る可能性がある。(将来負担の町の後年の支払い分は増えて財政を圧迫する方向)

  • 町立病院の赤字が減る要素が少ない。毎年の繰入が5億円を超える可能性もある。

  • この15年の間に多くの公共施設が指定管理者制度となりこの収支リストから外れたが、引き続き別途の委託料を自主財源から支払っている。

  • 令和6年の施政方針から、駅前再開発やゼロカーボン社会の実現のための新たな施設の建設で、この収支リストの赤字幅が増える可能性があります。


つまり今より厳しくなることが多いのです。

  • したがって常識的に上の②と③の方向となります。

  • すると、古いものを壊して新しいものをつくる(スクラップ&ビルト、リストラ)というビジネスの基本が必要になるでしょう。

  • そうなると町民はスクラップするものとか受益者の負担増についての論争にいやおうなしに参加することになるでしょう。

 

収支の累積を長期で見る↓↓

いずれにしても、私たちは「過去最高の令和6年予算113億円」などのニュース、数字の桁数に麻痺することがあってはなりません。


下図↓↓は前年の収支に今年の収支を積み重ねて長期の累積を見たものです。

  • 役場が公開していない2008年と2022年のデータをいくらか加味して、2022年までの15年の赤字の累計が60億ぐらいと推定されます。

  • 仮に15年のあいだに10%の合理化ができていたとしたら、6億円です。町債の自己負担率30%としてこの6億円を減債基金に積立てれば、20億円の新規事業の資金を国から獲得できる計算です。

  • これでマルシェなど収益を生む商業施設を駅周辺につくれば、道の駅のような赤字を生まない公共施設をつくれます。要は予算に限りがある中では、何かをスクラップしないと方向転換すらできない現実にあります


つまり②や③に方向転換する方が未来を創り出せる可能性が高まると思います。町民が抵抗しなければとの条件がありますが。


図4 公共施設等の累積収支
図4 公共施設等の累積収支 前年の収支に当年の収支を積み重ねたもの  2008,2022年データは公開されていない

まとめ

どうでしょうか?上で設定した大きな課題を考えてみましたか。

課題:公共施設の維持費のトレンドを2040年に向けどうコントロールすべきか? ①このまま赤字を増やしていいのか ②どこかで横ばいに抑え込むべきか ③どこかで減少に転じるか


今回示した長期のデータは今のシステムでは(総合計画がそうなっていないように)役場から出てくることはありません。今のシステムは毎年の予算の配分に主眼があるので「木を見て森を見ない」ことになりがちです。


すると町民はこの現実に役場がどうのこうのと他人事でなく、「細かい事業の内容は役場に任せ」て、町民は自分たちの税金との視点からシンプルに質問し説明責任を求めるに尽きると思います。

  • 「その施設をつくったら将来負担はトータルでどう変化するのか」

  • 「公共施設の維持費の赤字はトータルでどう変化するのか」

  • 「産業のひび割れや町内消費の漏れバケツの経済の問題はどう良くなるのか」

  • 「町内の経済循環、所得向上の問題はどうよくなるのか」


 

今回はここまでです。

2024-3-7 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する

 
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