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(No.156)反対の基本パターン|質問の技術⑨

  • 執筆者の写真: NorthQuest |びえい未来ネット
    NorthQuest |びえい未来ネット
  • 5月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月25日

「少数意見に真理あり」と教わったものです。5/20の町議会の宿泊税の公聴会に参加して考えたことは、「少数の反対意見」と「もの言わない大多数の町民」の利害関係をどのように調整すべきか、いまの自治基本条例の不備は何かということでした。


Fig-0

目次


新たな提案の反論:政策形成

会社において、新たな提案を議論するときの要素は、一般に下図↓↓のパターンであらわすことができます。

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Fig-1
図1 あるテーマを議論するときの基本パターン

図1を、提案者の立場で説明します。

  1. 解決したい問題(課題)—現状とあるべき姿をデータで示し、必要性を証明します。

  2. 解決プラン(事業)—課題にたいして、解決プランを期待効果と共に示し、有効性を証明します。

  3. 裏付け —問題と解決プランを結びつける論理的な裏付け(説得力)を示し、最も合理性があると証明します。(なお、合理性は有効性と同じとなる場合が多い。)


同じくこれに反論するときは、一般に下図↓↓のように行います。(下に続く)

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Fig-2
図2 あるテーマの提案に反論するときの基本パターン

図2を説明します。

ある提案に対して、反対側が証明(反証)すべきポイントをまとめました。

  1. 必要性:問題の設定が間違っているから、解決の必要性はないという証明。

  2. 有効性:もっとよい方法がある、大きな弊害がある、問題が解決しない、という証明

  3. 合理性:解決しなければいけない問題が他にあるだろう、考え方・思想・価値観が間違っている、と言う証明。


会社の場合の反論は一般に、修正や代替案のために行います。その理由はつぎのようになります。

  1. 業績の面で必要性・有効性の視点が重要、企業倫理の面で合理性は当然である。

  2. 反論が少数であっても、プランの修正と代替案の発見は価値あるものと尊重される。

  3. プランの実行の弊害は、調整と妥協による合意形成をはかり、全体最適を目指す。


調整と妥協による合意形成について言えることは、つぎのとおりです。

  1. プランの実行により、利害関係者(従業員、取引先、顧客)が発生する

  2. 対応として、プランの修正、条件を追加などの調整と合意形成が必須となる

  3. 調整と妥協の内容は、おもに経済的な補償、経過措置となる


そして、政策形成と合意形成を含めたアクションの総合的な評価は、最終的に市場によって決定されることとなります。  



自治体の場合(宿泊税の反論)

いままで会社について述べましたが、自治体になると反論の目的が変わってきます。現在審議されている宿泊税のポイントを下のチャートに記入しました。図の下に続きます。

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図3 宿泊税の提案に反論するときの基本パターン・・・具体的な中身は省略します
図3 宿泊税の提案に反論するときの基本パターン・・・具体的な中身は省略します

提案に対する反論の目的は、会社と自治体では違います。


(再掲)会社の場合の反論は一般に、修正や代替案のために行います。その理由はつぎのようになります。

  1. 業績の面で必要性・有効性の視点が重要、企業倫理の面で合理性は当然である。

  2. 反論が少数であっても、プランの修正と代替案の発見は価値あるものと尊重される。

  3. プランの実行の弊害は、調整と妥協による合意形成をはかり、全体最適を目指す。


自治体の政策形成における反論は少し違います。わが町の宿泊税の現状はつぎのようになっています。

  1. 自治体として必要性、有効性、合理性の判断は、影響を受ける大多数の町民は無言で行政と議会にゆだねている。

  2. 少数の反対意見は、合理性の視点から宿泊税の考え方や価値観そのものが間違っているという主張に依存しています。(北海道の宿泊税は反対しないという矛盾もあるが)

  3. そのため、必要性と有効性の視点からの反論・修正・代替案がなく、調整と妥協による合意形成をはかり、全体最適を目指すことが難しい状態に陥っている。



まとめ

この対立の折り合いがつかなければ、町民の分断につながって誰も得しないことを懸念しています。この状態についてつぎのことが言えると思います。

  1. 議案が否決されれば、町民サービスの影響を受ける多くの町民にマイナス。

  2. 議案が可決されれば、少数の反対の人々にマイナス。

  3. お互いに妥協の意志があれば、双方ともWIN-WINの可能性はある。


また、今後については次のように考えます。

  1. 財政改革のための宿泊税が、自治基本条例による町民参加と説明責任の遵守だけでは合意形成できず、「少数の反対 vs 大多数の影響を受ける町民」の利害の対立となっています。

  2. このため、政策形成プロセスにおける反対の町民と行政の力の不均衡を補うため、正当な利害の対立と認めた場合は、議会の監視権限を用いた関与が必要です。

  3. それには、自治基本条例と議会規則に、合意形成の努力規定、およびその濫用に関する規定の追加が必要です。


今回はここまでです。

2025-5-24 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する

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