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  • 執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.129)研究レポート ~ 崩れた将来負担の神話|町民参加で役立つ町政の基本知識-④

次世代のまちづくりリーダーを目指される方のための基本知識シリーズも4回目。今回はデータ比較に基づいたパワフルな分析の結果をレポートします。ここで見つけた大きな課題を町民参加で議論できる日が来ればと思います。



 

目次

  • 6年後の将来負担は推計できないって、ホント?

  • 3町の比較でトレンドを把握する

  • (A)-(B)将来負担比率の分子が1~2億円の町はどんな状態か?

  • コストカット

  • 60億円の大型投資でも、将来負担比率は増えない

  • コスト構造に関する懸念事項

 

あらすじ・・6年後の将来負担は推計できないって、ホント?


このまちでは、将来負担比率の推計のない財政運営計画が当たりまえです。何度もまちづくり委員会で財務担当に聞いても、できないものだと・・・

議員さんなどこのまちの町政を預かるひともおそらくそう刷り込まれてきたでしょう。


でもそれはやる気の問題だと判りました・・・


財政運営計画で5年先の将来負担比率を推計して町民に公開している自治体があります。


  • そのTOPページは積立基金残高の過去19年の総括で始まっています 図1

  • 起債のページでは約3割の自己負担を積立てる合理的なルールを明示しています

  • 最終ページで5年先の実質公債費比率と将来負担比率を推計しています


やる気になればできるという見本です。そしてこの町は5年間で総額60億円を超える大型の事業を行ってもなお、将来負担比率を下げています。


我が町も、ゼロカーボンとか駅周辺の再開発など大型のプロジェクトに取り組めるかどうか・・・戦略的な財務運営への転換が求められています。



図1 あるまちの財政運営計画のTOPページ
図1 あるまちの財政運営計画のTOPページ

この計画、必要なかたはこのリンクから。そうでない方は飛ばしてください。

その町を研究してわかったこと・・詳細は次々のセクションに


  • 直近12年間で186億円の借入、121億円の返済。つまり(A)将来負担の増が57億円

  • しかし自己負担の増分=(A)-(B)将来負担比率の分子は12年前に比べマイナス7億円

  • その背景に、大型の事業の借入の前に約3割の自己負担分を減債資金に確保


わが町を研究してわかったこと・・詳細は次々のセクションに


  • 直近の4年間でドラスティックに将来負担を改善

  • これ以上の改善は、町債以外でのコストカットが必要

  • コストカットした資金を約3割の自己負担分の減債資金に確保すれば、ゼロカーボンや駅周辺の再開発など大型の事業の借入も可能

ここまでがあらすじです。


いきなり難しいと思ったかたは、このあと易しいグラフからはいって、その後はすこし難しくなるので行けるところまでお読みください。


なお、このレポートは前回までに紹介した限られた書類の限られた数字だけを使って作成しました。書類や数字の見方は今回は割愛しました。次回以降にします。末尾に情報のリンク集を掲載しました。


 


3町の比較でトレンドを把握する


次の考え方で分析を進めます。


  • (A)-(B)将来負担比率の分子にまちづくりの課題が経年で集積する

  • 構造的な課題は、競合との長期のデータ比較でのみ発見できる可能性がある

  • 人によって見方の変わる単年度の情報では、普遍的なものは期待できない


美瑛町

下のふたつのグラフを併せてみてください。町ごとに縦軸のスケールが違うので注意してください。解説はグラフの下にあります。

図2-2 町債の償還と借入、年度末残高 美瑛
図2-1 町債の償還と借入、年度末残高 美瑛 →紫色の右軸と灰色の折線グラフは年度末残高を

  •  過去に膨張しきった町債(紫色)を2019年から借入をおさえ返済を加速し、ようやく10年前の水準に戻しました

  • 棒グラフの左軸は、ゼロから上に向かう黄色は単年度の借入、下に向かう青色は返済を表します



図2-1 将来負担(A)の内訳 美瑛
図2-2 将来負担(A)の内訳 美瑛 →紫色の右軸とグラフラベルは(A)を占す

  •  将来負担(A)(紫色)のなかにひとつ前のグラフの町債(紫色)が含まれる

  • 将来負担が良くなったことはわかります

  • あるべき到達点やとるべきアクションはこれからは判りません(答えはあとに)


 

東川町

下のふたつのグラフを併せてみてください。町ごとに縦軸のスケールが違うので注意してください。解説はグラフの下にあります。

図3-2 町債の償還と借入、年度末残高 美瑛
図3-1 町債の償還と借入、年度末残高 東川 →紫色の右軸と灰色の折線グラフは年度末残高を

  •  2012年から2014年にかけて総額69億円の巨額の借入を行って町債残高は高原状態になった。つまり、直近では借入と返済を均衡させている




図3-1 将来負担(A)の内訳 東川
図3-2 将来負担(A)の内訳 東川 →紫色の右軸とグラフラベルは(A)を占す

  •  巨額の借入のあと町債の残高が高原状態で均衡していても、(A)-(B)将来負担の分子を最低レベルまで下げている

  • つまり町債の増加にみあった減債資金の積み増しが行われている・・積立基金のルール化(前出の財政運営計画)

  • また、積立基金を特定財源に算入して実質公債費比率を下げ(その結果借入枠の制限を緩める)などの記述もあります。(前出の財政運営計画)

 

東神楽町

下のふたつのグラフを併せてみてください。町ごとに縦軸のスケールが違うので注意してください。解説はグラフの下にあります。

図4-2 町債の償還と借入、年度末残高 東神楽
図4-1 町債の償還と借入、年度末残高 東神楽 →紫色の右軸と灰色の折線グラフは年度末残高を

  •  町債の借入と返済が平均では均衡しているようです



図4-1 将来負担(A)の内訳 東神楽
図4-2 将来負担(A)の内訳 東神楽 →紫色の右軸とグラフラベルは(A)を占す

  •  ひとつ前のグラフで2017年と2021年に突出した町債の借入れにもかかわらず、このグラフで(A)-(B)将来負担比率の分子は上昇せず、むしろ減るか横ばい

  • つまり、町債の増加にみあった減債資金の積み増しが行われている


 

(A)-(B)将来負担比率の分子が1~2億円の町はどんな状態か?


3町のなかで(A)-(B)将来負担比率の分子が1~2億円の町がふたつありました。


それは中身がどんな状態なの確認して、そのレベルに到達するための課題を見ていきましょう。↓図5   説明はこの表の下に。

クリックで拡大します

図5 将来負担の内訳
図5 将来負担の内訳

(A)を減らして(B)を増やすのが基本となります。


(A)将来負担・・減らすのが基本

  • わが町は公営企業と退職金手当が他の町に比べて突出していて問題があると思います。(次回のテーマ)

  • それをそのままにして借入を減らすだけでは、成長のための投資ができなくなりじり貧になります


(B)充当可能財源・・増やすのが基本

  • (A)-(B)をさらに下げるには、基金積み立ての拡充が必要です(2021年、あと20億円)

  • この状態で新たな成長戦略のための借入を増やすには、その3割の積立金(減債資金)を生み出すコストカットが必要です。(次のセクション)


 

コストカット


あたらな投資のための積立金の必要性・・・にわかには難しいです。しかし人口も歳出規模もほぼ同じ町と比べれば、見えてくるものがあるのではと思います。

↓図6 説明は表の下に・・・

クリックで拡大します

図6 性質別歳出の状況
図6 性質別歳出の状況


うえの表から読み取れること

  • 美瑛町は積立金の余力がないようです

  • 職員給が多いのが気になります。前のセクションでも退職金が突出していました

  • 事務組合負担金が多いのも気になります

  • 美瑛高校の町立化は上記の課題とセットで議論しないと将来に禍根を残すかもしれません


 

60億円の大型投資でも、将来負担比率は増えない


上の図3-1、図3-2のように、60億円の大型投資を行っても積立金をマネジメントして(A)ー(B)将来負担比率の分子は減らています。


その理解のために3つの町の直近の12年間の資金の変動に焦点をあてます。↓図7


※12年間の始まりの年は美瑛町は一年だけ遅らせています。元データは末尾の資料集にあります。分析は表の下に続きます。

クリックで拡大します

将来負担比率の分子の視点でみた主要なデータ
図7 町債の変動が将来負担比率の分子に与える影響

東川町


↑図7

町債の変化を見ます。

  • ③=①-② : 直近12年間は65億円の借入超過でした。


町債の65億円の増加にともなう動きをみます。

  • ③を⑥に反映して+65億円、⑨は+52億円・・⑥の約7割が交付金算入のため

  • よって必要な3割の積立基金の積み増しは+13億円・・⑥-⑨

  • この分を⑩にて過不足なく積立基金を積み増した+13億円


町債以外の動きを見ます。

  • ⑦の町債以外の将来負担が-5億円・・・経営努力

  • この効果が、⑪の将来負担比率の分子の-4億円に反映


以上、町債の増加(65億円)があっても、対応した積立基金を増加(13億円)させることで、⑪将来負担比率の分子が増えないようにできる。


美瑛町


↑図7

町債の変化を見ます。

  • ③=①-②: 直近12年間は13億円の返済超過でした


町債の13億円の減少にともなう影響をみます。

  • ③を⑥に反映して-13億円、⑨-14億円・・・もともと積立基金不足の状態のため⑥と⑨の差は出ない


町債以外の動きを見ます。

  • ⑦の町債以外の将来負担が-35億円・・・経営努力

  • ⑩の-2億円は他の目的へ取崩したとおもわれる


以上、⑤~⑩までを総合して、⑪ (A)-(B)将来負担比率の分子は-33億円(改善)しました。⑦と⑥の要素の影響が大きいです。


直近4年間の改善は非常におおきなものがありますがはここでは省略しますが、必要なかたはここでご覧ください。



東神楽町


↑図7

町債の変化を見ます。

  • ③=①-② : 直近12年間は5億円の借入超過でした。


町債の5億円の増加にともなう動きをみます。

  • ③を⑥に反映して+5億円、⑨は+5億円・・(交付金の算入が全額?)

  • ⑥の+5億円よって必要な3割の積立基金の積み増しは+1.5億円

  • この分を⑩にて余裕をもって積立基金を積み増した+2億円


以上、町債の増加(5億円)があっても、積立基金を増加(2億円)させることで、⑪将来負担比率の分子への影響をむしろ減らしている。


町債以外の動きを見ます。

  • ⑦の町債以外の将来負担が-6億円・・・経営努力

  • この効果と、⑨⑩での余力が合わさって⑪の将来負担比率の分子の-9億円に反映

 

まとめ


  • 直近の4年の町債のマネジメントで将来負担比率は大きく改善しました。こんごは町債以外に将来負担比率をあげている問題の対処が必要におもいます


  • 持続的なまちづくりのため、仮に5年で60億円の投資を行うとして、毎年3.6億円の減債資金を5年にわたり算入すれば、将来負担比率を保てると分かりました。不足分は一時的に(死に金となっている)備荒資金組合超過納付金を取り崩す手もあります


  • いずれにしても、財政運営計画において6年後の実質公債費比率と将来負担比率が推計できないという神話を否定することが先決です。また減債資金は返済のときのみ取り崩すルール化も必要です


これからまちづくりのリーダーを目指そうとされる皆さんはどう思われますか?

以上

2023-12-25 Noriaki Gentsu @ NorthQuest

 

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参考資料

  1. 2021年度(R3) 財政状況資料集(エクセル) 美瑛町東川町東神楽町、 今回は結論を優先したため、資料のどこで数字を拾ったかは今回はとりあえずサンプルだけ示します。詳細は次回に。拾ったデータ:美瑛町2021(R3)Excel-p2 Excel-p3

  2. グラフの元になった状況資料集のエクセルまとめ 美瑛町東川町東神楽町、2021年度(R3)以前のデータの各町のリンクをは 美瑛町東川町東神楽町

  3. 2022年度(R4)の美瑛町財政状況資料集は外注のため2024/4までかかるとのこと。

  4. そこで美瑛町の将来負担の内訳データは、2022年度(R4)については財政健全化判断比率算出資料の総括表④の数字を引用しました


 

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