役場に質問したとき『自分の訊きたい答えでなかったけれど・・』、その場の流れで『わかりました』と終わってしまったことはありませんか? ・・これからのリーダーはそうならないトレーニングをしましょう。

目次
良いデータの裏の問題を見つける
まちづくり(町政)について町民が質問するケースはおおきく二つだと思います
役場の計画や資料などのわからないことについて訊く
地域の問題や町政の問題について訊く
今回は2について詳しく考えます。この場合に困るのは大きく二つだと思います。
何を訊いたらいいか分からない
どのように訊いたらいいか分からない
ということで、今回は広報6月号のBeコインのコラムのデータ(下の図1↓↓)を見ながら質問の方法を研究してみましょう。見たところ良いデータで、質問に困りますね。でも役場はいま行っている事業の良いデータしか出しません。良いデータから質問を考える訓練を行いましょう。

現状の問題点から先に訊く
これを考えるために、以前のブログ「課題共有フレーム」(下図↓↓)をつかって説明します。(詳細はこちらの記事)
質問の順は「課題共有フレーム」に沿って行います。
まずはじめに現状の問題点(現状Ⓐ)を役場に認めてもらいます・・認めてもらえれば共有できた、OK
つぎにその問題の方向性について、到達すべき合理的な目標(あるべき姿Ⓑ、課題Ⓓ)を役場に訊きます。※あるべき姿Ⓑは究極的に、課題Ⓓは今年度など短期に
最後に上記のやり取りをふまえて今の事業(打ち手・アクションⒺ)の有効性を議論します。 ※いまの事業は効果がないと指摘できればOK
クリックで拡大↓↓

しかし現状の委員会や議会のやり取りを見ると逆です。
はじめに役場から今の事業(打ち手・アクションⒺ)に対する資料が出てくる
そして町民はその資料の質問に終始する
役場答弁は、今の事業(打ち手・アクションⒺ)の範囲を繰り返すのみ
つまり「何かおかしいな」と思っても、役場のペースにはまって質問すると、結局「わかりました」と言うしかありませんね。
『どう考えていますか?』でなくYes/Noを訊く
つぎの質問をみてください。
『チャージした人数・延べ人数・金額ともに年々増加しています。今後さらなる普及を図っていくために役場はどう考えていますか?』
こう訊くと役場の答えは今の事業の妥当性を繰り返すのみとなってしまいます。
役場の目指すところ(経済循環、商店街の活性化など)やいまの事業(チャージに対するプレミアム付与、観光客に対する普及活動な)について、言質を与えないように(役場のペースで)詳しく回答があるはずです。
つまり『どう考えていますか?』と訊くと相手のパターンに陥ってしまい、あなたの「おかしいな」という思いはどこかに消えてしまいます。
町民として腑に落ちないから質問したのに、知っていることの繰り返しの答え
するとそれ以上に深入りする材料がないため「わかりました」と終わるしかない
せっかくの町民主体の町民参加が、役場主体の町民参加になってしまう
こうならないために、YES/NOで答えを求める訊き方が有効です。組み合わせて、根拠(なぜか・理由・WHY?)や数字での回答も求めると自分のペースで質問を展開することができます。
良い質問の事例
いままで見てきた良い質問のコツをまとめるとつぎのようになります。
良いデータの裏の問題点を見つける
現状の問題点から先に訊く・・「課題共有フレーム」を使う
『どう考えていますか?』でなく、YES/NO、WHY?、数字を訊く
これらを頭に入れて、上に示したBeコインのデータを材料に模擬の質問を考えてみましょう。
現状の問題点(現状Ⓐ)
『チャージした人数・延べ人数・金額ともに年々増加しています。しかし、チャージした実人数の伸びが、延べ人数と金額の伸びより少ないです。問題ではないか?』・・(YES問題がある/NO問題でない)
回答に対して用意した根拠をぶつける:『チャージした延べ人数の伸びが254%に対し、実人数の伸びが122%、チャージ金額の伸びが196%とどちらも頭打ちになっています。問題ではないか?』・・(YES/NO)
たたみかけるように:『実人数の伸びが頭打ちになっているということは、特定の人しか使っていないという意味ですよね?』・・(YES/NO)
たたみかけるように:『特定の人しか使っていないということは、Beコインの普及が止まっているということですよね?』・・(YES/NO)
たたみかけるように:『Beコインの普及が止まっているということは、究極の目的とする経済の循環が実現しないということですよね?』・・(YES/NO)
なお、1から5はごっちゃにせず、因果関係に沿ってひとつづつ訊きます。最後の5は自分がこの質問で到達したい目標です。ここまで行ければ最高ですが、途中のどれかでYES(問題がある)の答弁が得られればそれもよいでしょう。(因果関係のブログはこちら)
自分の意に反してNO(問題がない)の答えに直面したら、その根拠(なぜ、理由、WHY?)と訊くことで局面を打開できるかもしれません。そもそもあなたは「何かおかしい」とおもって質問しているのですからめげずに粘ってください。
なお、現状の問題点(現状Ⓐ)はいま現在ととらえず、過去ー現在ー未来のトレンドをイメージして、「今後は頭打ちになりそう」「今後は下降傾向になりそう」「このままでは設定した目標に届きそうにもない」など幅広く問題をとらえられるようにしましょう。
到達すべき合理的な目標(あるべき姿Ⓑ、課題Ⓓ)
現状の問題が見つかったら、どうなって欲しいかに論点を移します。
「課題共有フレーム」の、あるべき姿Ⓑは究極的に、課題Ⓓは今年度など短期にどこを目指すかと理解してください。
『地域経済の循環を高める施策としてBeコインを幅広い町民への普及させる必要があるということでした。Beコインのチャージした実人数が1,077人から、2000人、3000人に増やす目標設定が必要ではないか?』・・・(YES必要だ/NO必要でない), WHY?
『ところで、総合計画にチャージした実人数のKPIがない。必要ではないか?』・・・(YES/NO), WHY?
『ところで、総合計画の令和14年度のチャージ総額のKPIの7400万円はもう達成したから、目標の改定が必要ではないか?』・・・(YES/NO), WHY?
今の事業(打ち手・アクションⒺ)
ここまで詰めると材料が揃って、ようやく今の事業の有効性の議論が展開できます。
『令和6年度の電子地域通貨運営事業(9700万円)によって達成できる、チャージした実人数は見込みの数字は?』・・・<数字>、Why?
『令和5年のチャージ額9600万円だった。令和6年の予算9700万円は民間的に考えて採算は合っているのか?』・・・(YES/NO), WHY?
『チャージした実人数を2000人、3000人に増やすためには、予算も9700万円よりもっと増やす必要があるのか?』・・・(YES/NO), WHY?
『予算の9700万円の使い道の内訳を示せますか?』・・・(YES/NO), WHY?
『ところで観光客や町外のひとにBeコインを普及させる事業はムダなのでは?』・・・YES/NO), WHY? (自分が用意した根拠 ①観光客は自分のポイ活しているからBeコインに乗り換えない、②観光客がBeコインを使っても使わなくてもインバウンド町内消費の金額は変わらない)
参考
(YES/NO)の答えを求めるとき、併せて(YES/NO)の根拠・理由・WHY?を求めましょう。数字も求めましょう。
YES/NOの答えのあとに続く言葉に細心の注意を払います。YESで問題を認めた後は、一般に『ただし・・・』と注釈(言い訳)が続きます<Yes, but・・・>。 またNOで問題を認めないときは後に、一般に『なぜならば・・・』と根拠が必要です<No, because>。そこを注意深く突くことで議論の展開の糸口が見つけたり、自分のペースを維持することができます。
慣れてきたら、相手の理由が1つであればこちらの反論が2つとなるように、相手が2つならこちらが3つとなるように自主トレしましょう。正論であってもそれをサポートする理由づけができないと、役場を動かすことはできません。
今回はここまでです。
2024-7-10 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する
2024-7-11 字句の修正
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