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  • 執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.124)続・美瑛物産公社の経営を考える|6月町議会から


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引用元:https://the-owner.jp/archives/4090

6月町議会での美瑛物産公社の令和4年度決算報告。コロナ拡大での大赤字から3年ぶりに回復し、めでたしめでたしの雰囲気に終始。しかし基本の論点(役場がどう経営に関与すべきか、会社の借金と役場の責任など)がくすぶっています。十勝岳が噴火したらコロナのときとおなじ混乱を繰り返すでしょうか。


 

<目次>

1.この会社の生い立ちから付きまとった政治の力

2.「公社」と名が付くこの会社の使命は何か?

3.議会と行政はこの会社の経営課題を語るべき

4.議会と行政は基本の問題を総務省ガイドラインで議論して

5.第三セクター等の経営健全化等に関する指針

 
あらすじ

1.この会社の生い立ちから付きまとった政治の力

この会社は2006年(H18)の設立で、町が出資した会社法法人。

公共性と企業性を併せ持つ第三セクターとして地方自治法が適用されます。


町が次々に建設した公共施設の指定管理者となり、そこで独占的に販売、宿泊、体験、レストランなどの民業(収益事業)を拡大しました。


私は3年前からこの会社の公共性に一町民として疑問を持ちました。

  • 公共の名のもとに民業を集約し、収益力不足(※)を役場が支援することの納得性

  • この会社が更に民業を拡大すれば、民間の起業を促す今の政策とも相反する

  • よってこの会社は検討中の「まちづくり新会社」の一翼を担うべきでない

(※)(No.96) 美瑛物産公社ってどんな会社? 
このブログで、2017年から2019年に観光客が1.4倍に増えたチャンスに、白金ビルケと青い池売店の新規展開のチャンスをもらって、儲けにつなげられなかったことを示す根拠データ。

3年経ってこの4月。町長選に絡んで「役場がこの赤字会社の身売りを検討している」との情報が流れ、役場は全面的に否定。


これは、公共の位置づけの裏でこの会社に政治的な利害が絡んでいることを町民に示しました。不思議なことに表立って意見を述べるひとはいません。

  • 政治がらみで拡大した既得権だと首をかしげる町民はいても声には出しません。

  • 議員も自分の支援団体への気遣いからか腫れ物に触るような発言が多いです。

 

2.「公社」と名が付くこの会社の使命は何か?

コロナ後の経営努力で2022年はコスト力(収益力)が改善したことで、6月議会は安ど感が漂いました。黒字であればいい、借金がなければいいとも聞こえました。

  • ある議員は「立派な決算だ」と手放しの評価。

  • またある議員は「こんなに利益があるなら、コンサルタントは必要ないので借金の返済に充てたらどうか」とも発言。

  • またある議員は前社長の個人の債務保証にからんで、あたかも役場が負担すべきと言わんばかり。役場も「それは取締役会の問題」と木で鼻を括った答弁。

こういった上っ面の議論を聞くといろいろな疑問がわいてきます。

  • 公共性と企業性を掲げたこの会社が17年前に担った使命は何だったのか

  • その使命は、総合計画に掲げた町内の商工業の深刻さにいまも通用するものか

  • 町の施設を預かり、施設使用料や委託販売手数料を収入に計上できる根拠は?(※)

※追記2023-7-12

 

3.議会と行政はこの会社の経営課題を語るべき

3年ぶりの好決算に浮かれないことです。先のことが大切です。

  • 令和5年の事業計画は、町の支援(受託業務)を除いた民業(収益事業)は赤字です。

  • 年間3400万円の受託業務は公共性の観点で正当化できるでしょうか?自治基本条例の第44条(出資会社)により町民に積算根拠の説明が必要です。

  • ちなみに(この会社に限らず)各種団体に1000万円単位の資金が積算根拠を示さず、ポンポンと交付されるこの町の現状。議員も100億の予算に慣れてこの程度の金に麻痺するのでしょうか?

表1ー美瑛物産公社の営業利益(e)と受託業務の関係。受託業務は総売上高(a)に含むため、これがなければ営業利益(e)は相当に減少する。減少額は受託業務の積算根拠と個別収支が非公開につき不明。令和5年計画は実績と比較できるように筆者が編集。

それはともかく、議会と行政は基本の課題を根拠とともに議論してほしいものです。

  • 課題1.町民から見てこの会社の既得権となった民業(収益事業)。その民業の収益を補うために、公共性の名のもとにこれから生涯にわたりどれだけ資金を投入するか。町内経済循環の政策と相反しないか。町民の利益になっているか。創業17年といえば民間では独り立ちするか、先が見えなければ会社をたたむ頃合いです。(参考資料:企業の成長サイクル


  • 課題2.コロナ級の経営危機の再来。 ①十勝岳の噴火、作物の疫病の発生 ②外部要因による国際観光不振 ③土井商店跡のホテル開業など。つぎの(第2段階)で自立する前に、危機が来たら町はどう対応するか。 (第1段階)令和5年と令和6年の営業利益を返済に充て、長期債務を解消する (第2段階)令和7年から5年ほどかけ内部留保を積み上げ、コロナ級の災害に備える


  • 課題3.「完全な民営化」。 公共性の名のもとに政治的に民業(収益事業)を取り込んだために、第3セクターの経営の難しさ(※)に直面し、自己矛盾に陥っています。どう決着するか。後述の総務省ガイドラインは、最終解決策は「完全な民営化」と言い切っています。 ※(役場がどう経営に関与すべきか、会社の借金と役場の責任など)

 

4.議会と行政は基本の問題を総務省ガイドラインで議論して

第3セクターの経営の難しさの答えを求めて次の資料を見つけました。


何かと問題の多い第三セクターを統制する総務省の資料だけあって、わたしたちの拠り所となることが良く書かれています。



ここまでがあらすじとなります。

以下(くわしく)では、このガイドラインに現状に照らして考えてみました。


引きつづき、お読みいただければ嬉しいです。

 
くわしく


  • ここから詳しい論点となります。太字の番号と題名はガイドラインに合わせました

  • 引用したガイドラインはボックスで囲み、留意すべき点は赤字にしました

  • (現状)は、ガイドラインに照らしてコメントしました

 

2 議会への説明と住民への情報公開(3ページ)
(抜粋)地方公共団体は、議会・住民に対して、第三セクター等の財務書類や将来負担額等を報告・公表することに加え、第三セクター等の経営諸指標(経常収支比率、流動比率、自己資本比率、有利子負債比率等)、地方公共団体が行っている財政的支援とそれに伴う財政的なリスク、現在の経営状況に至った理由、将来の見通し等について、分かりやすい説明を行い、理解を得ることが必要である。(以上抜粋)

(現状)

  • 町民に、将来負担額の公表や、経営指標、財政的支援、将来の見通し等のわかりやすい説明はない。

  • 自治基本条例の第44条(出資法人)を根拠に情報公開を促進すべき。


3 経営責任の明確化と徹底した効率化等(3ページ)
(1) 第三セクター等は、地方公共団体から独立した事業主体として自らの責任で事業を
遂行する法人であり、第三セクター等の経営責任は経営者に帰するものである。
経営者は、第三セクター等の経営が悪化した場合等には、民事・刑事上の法的責任
追及が行われる可能性があり得ることを十分に認識した上で、第三セクター等の経営
に当たることが必要である。(以上抜粋)

(現状)

  • 「第三セクター等の経営責任は経営者に帰する」が全く自覚されていない。

  • 令和2年6月に議会報告した令和2年事業計画は、その時点で成立しないと予見できたはず。一年後に債務超過が発覚し、挙句に長期借入の個人保証で揉めたとは・・・


(2) 地方公共団体は、第三セクター等の役職員の選任について、職務権限や責任にふさ
わしい人材を広く求め、民間の経営ノウハウを含めた適切な知見を有する人材が積極
的に登用されるように努めることが必要である。
第三セクター等の事業内容、他の出資者及び利害関係者との関係等により、地方公
共団体の長や職員が役員に就任する場合にあっては、その職責を果たし得るのか、十
分に検討を行うことが求められる。(以上抜粋)
(現状)

  • コロナの対応を見れば、そうはなっていない。

  • コンサルタントの提案を実践できる経営者、あるいはコンサルタントを兼ねた経営者を登用すべき。(資本と経営の分離)


(3) 地方公共団体は、第三セクター等の役職員の数及び給与の見直し、組織機構のスリ
ム化等、徹底した効率化について不断の取組を進めることが必要不可欠である。
また、第三セクター等の内部における組織体制、責任、服務、会計及び資金の管理・
運用等の経営上の重要事項について、あらかじめ当該地方公共団体としての指導・監
督方針や基準を策定し、明確にしておくことが望ましい。

(現状)

  • 議会の資料を見る限りこうはなっていない。

  • 町の出資比率、従業員数の変動、役員報酬など情報公開している自治体はある。


(4) 地方公共団体は、第三セクター等の経営において、民間の資金やノウハウを可能な
限り活用するように留意するべきである。このような観点から、当該第三セクター等
の経営が設立当初から良好である場合はもとより、設立当初には収益が上がらなくと
も、将来的には収支が均衡し、継続的に自立した経営を行う見込がある場合には、完
全な民営化(地方公共団体からの出資の解消)を視野に入れた経営のあり方について
も検討することが望ましい。

(現状)

  • 創業17年、「将来的には収支が均衡し、継続的に自立した経営を行う見込がある」にはほど遠い。


(5) 地方公共団体は、第三セクター等の資金調達について、4(公的支援(財政支援)
の考え方)に記載する公的支援(財政支援)の考え方も踏まえ、地方公共団体の信用
力に依存するのではなく、徹底した情報開示を前提とした上で、自立的に行われるよ
うに留意するべきである。

(現状)役場の支援をあてにする創業からの風土。


4 公的支援(財政支援)の考え方(4ページ)
(1) 基本的な考え方 抜粋
・第三セクター等は地方公共団体から独立した事業主体として、公共性、公益性が高い事業を行う法人である。
・その経営は原則として当該第三セクター等の自助努力により行われるべきであるが、性質上当該第三セクター等の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費及び当該第三セクター等が能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難と認められる経費については、地方公共団体が公的支援を行うこともやむを得ないものと考えられる。
・公的支援を行う場合にあっても、支援を漫然と継続することや、支援の規模が安易に拡大することがないようにすることが特に重要である。このため、地方公共団体と第三セクター等の間で、公的支援の上限や期限、支援を打ち切る要件等について取り決めておくことが必要である。
・その際には、第三セクター等が行う事業の公共性、公益性、法人形態、「存続の前提となる条件」(ゴーイング・コンサーン)等を踏まえた検討を行うことが求められる。
・なお、地方公共団体が第三セクター等に対する事実上の支援として行う業務委託等や、地方公共団体が給与等を負担する職員の出向等についても同様に取り扱うことが必要である。

(現状)

  • (公共性と公益性)民間でもできる収益事業を含めたことの矛盾がある。

  • ゴーイング・コンサーン(事業継続の懸念事項):①十勝岳の噴火、作物の疫病の発生など ②政治・経済情勢の外部要因の悪化 ③土井商店跡のホテル開業など。 

  • 公的支援(財政支援)は業務委託等を含む、また規模の上限と期限があると。現状はそうなっていない。


(2) 損失補償(債務保証を含む。)
◇(要旨)地方公共団体が第三セクター等の債務について行う損失補償(地方道路公社及び土地開発公社に対する債務保証を含む。以下同じ。)は、将来的にはその一部又は全部を負担する可能性を有するものである。特に、多額の損失補償を行う第三セクター等が経営破たんした場合には、当該地方公共団体は巨額の債務(財政負担)を負うとい
う特別なリスクが存在する。

◇加えて、第三セクター等に対する金融機関等による資金調達面からのガバナンスが
希薄となるため、本来は存続困難な事業が存続したり、第三セクター等、地方公共団
体、金融機関等の間で適切なリスク分担が行われないなどの問題を有する。
このため、地方公共団体が第三セクター等に対して公的支援を行う場合には、債務
について損失補償を行うべきではない。(以下、省略)

(現状との対比)

  • 債務保証と損失補償の違いはわからないが、この会社の損失には役場としてけじめをもって臨めとの趣旨だろう。


(3) 短期貸付け 省略
(4) 長期貸付け 省略
(5) 出資(増資を含む。) 省略

(6) 長等の私人としての債務保証
地方公共団体の長等が私人としての立場で第三セクター等の債務を保証すること
は、公職としての立場での契約と混同されるおそれがあるため、行うべきではない。
現在このような契約を行っている場合には、早急に是正することが必要である。

(現状との対比)

  • 銀行のガバナンスは個人保証が必須。副町長の社長兼務は明らかに私人として。よって私人としての副町長は必ず個人保証が求められる。

  • よって副町長が物産公社の社長になるべきではない。

 

補足資料


この会社は成長サイクルのどこにいる?

企業も人間と同じように成長サイクルがあるとの考えが一般的です。

生まれたときから目的のために努力し、成長し、生き方を変え、使命を達したら、統合や分離再編によって消滅していきます。


Fig-2
引用元:https://the-owner.jp/archives/4090


東京商工リサーチによれば中小企業の倒産までの平均寿命は23年だそうです。

美瑛物産は創業17年で、年齢的には成熟期。いまなお低迷しています。


この会社の弱みは?

委託事業を除けば、この会社の民業(収益事業)は収益力と成長力は弱いです。関連性のない事業を寄せ集めても相乗効果はでません。寄せ集めた必然性がないのです。

  • 販売、宿泊、レストランは、仕入れ品目が違い共同仕入れの合理化ができない

  • 販売は、丘のくら、白金ビルケは仕入れの共通化はできても店が画一化。また外部生産に依存し粗利が薄い

  • 宿泊部門は、土井商店跡のホテルの出現という現実の脅威にさらされている


 

今後のまちづくりビジネスとの関係
  • これからゼカーボン絡みの環境ビジネス、サイクリングや自然体験ビジネスの展開が予想されます。これら事業は専門的で、美瑛物産の経営資源との親和性はない

  • 駅前再開発の賑わいプロジェクトは、ヘタに美瑛物産が絡めば民間の起業の芽を摘むことになりかねない

 

議会審議の問題点

2020年(R2)6月18日の議会審議に問題があります。

  • R1年度の決算で1-3月にコロナの影響を受けたと報告のあと、コロナの影響を加味しないR2年事業計画(※)を了承したこと。(※営業収益が前年比100%、営業利益が約3000万円)

  • 6月のこの時点で自己資本がほぼゼロだったと推定(※)されるが、議会への報告がその一年後とは、民間では考えられないシステム的な失態。

(※) 4月初めに1200万円の自己資本があり、12か月で5500万円の損失を被って、3月末に自己資本が▲3500万円。つまり6月の時点で自己資本の問題は顕在化していたはず。
 

2023-7-9 Noriaki Gentsu @ NorthQuest

2023-7-10 字句修正

 

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