この投稿は前回の続きとして美瑛の外国人観光客についてまとめたものです。
あらすじ
12月に上川振興局が公表した2019年度上期の観光統計。4月―9月(夏型)の宿泊客延数の市場トレンドを外国人について分析。全体の80%を占める中国・韓国・台湾・香港の宿泊客数が、上川管内が前年比99%に対し美瑛は77%。昼間の増えている印象のうらで、宿泊市場で何が起きているのだろうか?
統計の概要
上川振興局が2019年12月に公開した「 2019年度上期 上川管内観光入込客数調査報告書 」を抜粋した概要は図1のとおり。この統計は4月―9月(夏型)の観光の動向を示すため、夏型観光の美瑛は、年間の統計がでる8月を待たずに2019年度(H31,R1)の傾向を把握することができる。
報告書に「主な増減要因」として各市町村が記載したページがあり、美瑛はつぎのように記している。
残念ながらこの分析はつぎの理由から掘り下げが足りないと考える。
減少した宿泊客延数について言及していない。 -統計が示す4月―9月(夏型)の宿泊客延数でみれば、美瑛は下降トレンドに入った可能性が高い。※このことは前回の投稿で詳しく分析した。
「外国人宿泊客の減少は国際情勢などの煽り」としたのは間違い。 ー主要国すべての客足が減ったという事実がある。 ※この投稿はこの点について詳しく分析する。
外国人宿泊客~2015年を境に主役交代、トレンド変化は目まぐるしく
今回と過去のデータを合わせた図1、図2、図3から、次の結論がえられる。
4月―9月(夏型)の宿泊客延数に関して、市場は2015年を境に主役が上川から旭川に変わった
2016-2018年の豪雨、地震など災害に関係なく旭川と占冠村は伸ばした。
富良野は2016-2018年の豪雨、地震などが影響、2は019年は脱したかに見える。
<参考>2018-2019年、一年の変化
上の図4を、2018-2019年の1年間について表示したものが図5となる。
2018年から2019年にかけ、上川町と美瑛は大きく減った。温泉という共通項の低下なのか、富良野・占冠の勢いがあるということか?
どこが国際情勢などの煽り??
美瑛町の報告に「外国人宿泊客の減少は国際情勢などの煽り」とあるのは間違いである。
韓国は、上川管内が前年比87.2%、美瑛は同じく78.3%と9ポイントの差。
他の国についても上川管内より美瑛が大きく前年比を下げているーー中国は23ポイント、台湾は30ポイント、香港は19ポイント。
この4か国が全体に占める割合は上川管内と美瑛ともに80%とおなじ。そして、前年比は上川管内が99%に対し、美瑛が77%。
まとめ
統計データを見える化(トレンド、競合との比較)することで、自社にとっての不都合なデータやトレンドが見つかるものだ。その不都合な事実を受け入れ、なぜそうなるか仮説と検証を繰り返す。そこからできた戦略が未来を変えることができる。
※宿泊客全体の動向は、前回のブログで紹介しています。
Noriaki Gentsu @NorthQuest
◆起業や地域の問題解決を目指す若者にむけ、「北の若者塾」を始めました。 https://www.blog1.northquest.net/
Comments