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  • 執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.110)速報!自治基本条例(素案)の考察


まちづくりに限らず、すべてのことは変化する力と変化を止める力のバランスで決まります。自然も社会も、ひとの人生や体も同じです。変化する力は良い方向と悪い方向があり、変化を止める力は逆の力と何もしない力です。止める力はとても強く、変化を起こすには並外れた意思と努力が要ります。検討が進んでいる自治基本条例と総合計画も、止める力に注目すれば新たに見えてくるものがあります。


Fig-1
行政プロセスが公明正大でなければ、信頼を基にした町民・議会・行政の協働のバランスは崩れ、相乗効果は低下し、ひいては誰の損得ではなく町全体のマイナスになります。

テーマの背景

町民と議会と行政がお互いの関係を定め、協働して町民主体のまちづくりを実現を目指す「美瑛町自治基本条例」の検討が進んでいます。経過は、下記の注(色枠)を参照。


町民参加でできた原案と、条例審査を経てできた行政案(=町民コメント素案)を比較すれば、良い方向の変化を止める力(=町民のデメリット)が働いています。


つぎのような出来ごとがありました。

  1. 町民参加のまちづくり委員会(8/9)で合意・承認のあと町長に答申(8/17)した原案に対し、行政が作った素案(10/18)に町民のデメリットとなる変更があったこと

  2. 上記の変更について、第3回まちづくり委員会(11/8)で担当課から「てにをは」の変更(※)を行ったとの事後報告があり、内容の説明はなかったこと

※軽微で全体に影響しないとの意味で、原案の承認の段階から使われていた表現


言い換えると、町民・議会・行政の自治の担い手の協働を目指し合意した原案が、行政プロセスのなかで町民にとってデメリット、他の担い手にメリットとなるように軽々と変えられた事実。しかも、行政はそれを軽微な変更と説明している事実。・・・


小さなことであっても、一事が万事。行政プロセスが公明正大でなければ、信頼を基にした町民・議会・行政の協働のバランスは崩れ、相乗効果は低下し、ひいては誰の損得ではなく町全体のマイナスになります。


(注)条例の検討(経過)
1.第2回まちづくり委員会(8/9)で原案を承認
2.原案を町長に答申(8/17)
3.原案は条例審査を経て行政案(10/18)に(=町民コメント素案)
4.町民コメントのあと、行政が議会に条例案を提出予定(12月上旬)

れから、町民の視点でどういう問題を細かくみていかないといけないか、注意する条文を原案と行政案の比較で見ていきます。

 

第8条(説明責任)


(説明責任)
第8条 行政は、公正で開かれた町政を推進するため、町民から説明を求めら
れた場合には、町の政策及び施策の企画、立案、実施及び評価のそれぞれの
過程において、その経過、内容、効果等を町民に分かりやすく説明します。

素案の問題

素案(上記)は、まちづくり委員会の原案(下記)に対し"町民から説明を求められた場合には"との紛らわしい条件が挿入されたもので、町民にとって問題です。

  1. 第14条(脚注)の町民参加を求める事項(1)から(7)など、町民生活に関わる政策がいつどのように発生しているか町民は知らないから、行政に説明を求めることができません。すると行政は、町民が求めないから“説明しなくてよい”となります。

  2. また、本条に“町民から説明を求められない場合”は定めがないから、行政は“説明してもしなくてもよい”となります。

  3. 以上から、"行政は政策の発生過程から説明責任を果たす"との本条の趣旨は実効性を失います。これでは、「重要なことが決まってから出てくる」「意見を言っても変わらない」と町民に根強かった批判は解決せず、何も変わりません。

◆よって、行政のメリットのために町民のデメリットが生じるような条文は、町民・議会・行政の協働の妨げとなります。基本原則にも反し不合理な文言"町民から説明を求められた場合には"を削除していただきたい。


原案
(説明責任)
第8条 議会及び行政は、公正で開かれた町政を推進するため、町の仕事の企画、立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果等を町民に分かりやすく説明します。
2 議会及び行政は、町民から説明を求められた場合には、誠実に対応します。

※原案の2項は行政が至らなかった場合に、補足的に町民が求めることができるようにしています

 

第12条(会議の公開)


素案
(会議の公開)
 第12条 行政は、附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」といい ます。)の会議は、町民に公開します。 
2 行政は、前項で規定する会議を公開することが適当ではないと認められるときは、非公開とすることができます。 

素案の問題

素案(上記)は、まちづくり委員会の原案(下記)にある、議会の会議の公開に関する1項(下記赤字部)を、議会規則の委員会の規定と整合しないとの理由から全削除したもので、町民にとって問題です。

  1. 町民が信託した議会の委員会の情報を、町民が得られない不合理のもとで、町民自治の追求はできません。

  2. そもそも“自治条例にあわせた議会改革は会議規則の変更で対応する”と表明されたのだから、規則を変えて前に進む時です。

  3. 委員会の公開は傍聴に限らず、概要(日時・議題・出席者)、議事要旨、議事録、傍聴、録画の公開など、規則で順次進められるはずです。

◆よって、委員長の議会報告で「原案可決」しか町民に伝わらない現状のデメリットを解消するため、原案から削除した条項を復活していただきたい。


原案
(会議の公開)
第12条 議会は、定例会、委員会及び美瑛町会議規則で規定する会議を原則公開します。
2 行政は、実施機関に置く附属機関及びこれに類するものは、その会議を原則公開します。
3 議会及び行政は、前2項で規定する会議を公開することが適当ではないと認められるときは、非公開とすることができます。

 

第49条(美瑛町自治推進委員会の設置)


素案
 (美瑛町自治推進委員会の設置)
第49条 この条例を守り育て、実効性を高めるため、町長の附属機関として
美瑛町自治推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

素案の問題

素案(上記)は、まちづくり委員会の原案(下記)にある、委員会の概要(審議事項と組織)の条項(2項から5項:下記赤字部)を削除し、別途の規則で定めるとなっていて、                                                                                                                                                                           町民にとって問題です。

  1. 委員会の概要(審議事項と組織)を規則で定めることは、行政にメリットがあるかもしれないが、参加を考える町民には別途規則を見ないと伝わらないデメリットがあります。

  2. 現行のまちづくり条例でも、第21条(審議事項)および第22条(委員会の組織)として規定されています。(脚注)

  3. そもそも別途の規則で定める合理的な理由が、町民として分からない。

◆よって、町民参加の委員会の概要(審議事項と組織)を条文に記載していただきたい。


 原案
 (美瑛町自治推進委員会)
第50条 この条例を守り育て、実効性を高めるため、町長の附属機関として美瑛町自治推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会は、町長の諮問に応じて審議を行い答申するものとします。
3 推進委員会は、前項に規定するもののほか、自ら次の事項を審議し、町長に提言することができます。
(1) この条例に基づく制度、町民参加の状況及び条例の運用状況に関する事項
(2) この条例の見直しに関する事項
(3) 美瑛町の自治の推進に関する基本的な事項
4 推進委員会は、委員10人以内をもって組織します。
5 委員の任期は2年とし、再任を妨げないものとします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
6 推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に規則で定めます。

 

第18条 (美瑛町まちづくり委員会の設置)

素案(※原案と同じ)
(美瑛町まちづくり委員会の設置)
第18条 町長は、まちづくりへの町民参加を推進するため、美瑛町まちづく
り委員会を設置します。
2 美瑛町まちづくり委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定め
ます。 

素案の問題

本条も、上記の第49条と同じく委員会の概要(審議事項と組織)が別途の規則で定めるとなっていて、町民にとって問題です。

  1. 委員会の概要(審議事項と組織)を規則で定めることは、行政にメリットがあるかもしれないが、参加を考える町民には別途規則を見ないと伝わらないデメリットがあります。

  2. 現行のまちづくり条例でも、第21条(審議事項)および第22条(委員会の組織)として規定されています。(脚注)

  3. そもそも別途の規則で定める合理的な理由が、町民として分からない。

◆よって、町民参加の委員会の概要(審議事項と組織)を条文に記載していただきたい。


 

まとめ

  • できるだけ条文と事実をベースに町民の視点から問題点を明らかにしました。

  • 今後のフォロー記事は、町民コメントに対する行政の対応、議会の審議過程などが判れば発信したいと思います。

2022-11-13 Noriaki Gentsu @NorthQuest

 

住み良いまち美瑛をみんなでつくる条例 第6章の抜粋 展開 V閉じる

素案 第14条 抜粋 展開V閉じる

 

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