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  • 執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.113)【役場にひと言】町民意見にリスペクトと共感を|事例・町民まちづくり提案

「町民のまちづくりへの関心が低い」とよく言われますが、まずは町政に関心のあるひとを増やす取り組みが大事だと思います。

町民と議会と行政の関係を見て、その方策を追い求めてみたいと思います。


Fig-0
町民が求めるものは形式的な回答ではなく、自分のつたない提案に対して役場が共感してくれた、きちっと受け止め評価してくれた、提案してよかったと喜べる実体的な情報です。

 

テーマの背景

町政に関心のあるひとをどう増やすかといったテーマで、まず現状を確認します。

  • ”これからのまちづくりは行政だけでは進められない”と、町長が始めた「町民まちづくり提案事業」の件数が年々減っています。

  • 要は町政に関心を持ってくれているリピーターが減って、新規が増えないのです。

  • 自治基本条例はこれに対処する条文はありません。この問題を取り上げて取り組んでいる話も聞きません。

 

町民まちづくり提案事業の現状

町民提案の件数の推移は次のようになっています。
  • 令和元年は55件、令和2年は21件、令和3年は15件、令和4年は14件となっています。

これをみてよいと思うひとはいないでしょう。


要は町民に人気がないのです。
リピータが減っていると仮定して、掘り下げていく必要がありそうです。
新規を増やしても、リピートしなければ定着せず意味がないのです。

それでも役場は同じ事業を繰り返しています。

ちなみにわたしは令和元年から令和3年まで合計で10件の提案し、いくつか採用されたものもあります。しかし令和4年はやめました。
 

わたしが提案をやめた理由

不採用だからやめたのではなく、役場の回答に提案へのリスペクトを感じないのです。 
・・・ほかのかたの提案も含め、ほぼ次のパターンの回答になっています。
  1. わたしが解決したい問題と、そして提案について役場はどう受け止めたか?・・・このフィードバックがほとんどありません。

  2. 回答は、まず行政の考え方がどうとか、こういう事業がすでに展開しているとの説明で始まります。ときにはさらに、提案があれこれと現状に整合しないなどの文脈が続きます。・・・要は役場が主役なのです。

  3. 最後に、よって今回はあなたの提案は予算化を見送る、しかし今後の政策のなかで検討していきますという定型文で結ばれます。

※なお、上の見解は役場の回答集(下記)で確認してください。 令和2年令和3年

 

町民のメンタル

このような回答をもらって町民のモチベーションがあがれば、提案は増えているはずです。

町民の思いとマッチしていないと受け止めて、対応を考えるべきです。

町民が求めるものは形式的な回答ではなく、自分のつたない提案に対して役場が共感してくれた、きちっと受け止め評価してくれた、提案してよかったと喜べる実体的な情報です。

それには、役場の考えを中心に述べるのでなく、町民の提案を軸にして役場はどう思うかというコミュニケーションを成立させなければなりません。
  1. 町民が解決したい問題について、役場はそう思うか思わないか?+理由。

  2. 提案した解決策について、役場は効果があると思うか思わないか?+理由。

  3. そのための打ち手について、役場は実現の可能性があると思うか思わないか?+理由。

 

役場のメンタル

町民が感じたことの裏返しが、回答した役場の担当者のメンタルな反応で説明できれば解決策に近づきます。 わたしは次のような仮説を持っています。
  1. 町長の考えだから、町民提案を拾って予算査定に入れる必要がある。

  2. 町民が指摘した問題は、現状の事業を否定することにもつながりかねないので回答は差し控える。

  3. 町民が提案した解決策の効果は、現状を事業の評価と関係するので回答は差し控える。

  4. 町民が提案した打ち手は、新たな予算の算定に手間がかかるから回答は差し控える。


なぜその仮説かと聞かれれば、役場の委員会でも同じような経験があるからです。


このようにお互いに意図しないメンタルな反応が連鎖する背景には、長らく培った組織風土があるのですが、ここでは省略します。


このメンタルな反応は、しばしばビジネスの世界で意図的に使う「論点ずらし」に似ています。

その場しのぎには役立ちますが、多用するとコミュニケーションが成り立たず、お互いの信頼関係が失われます。

 

まとめー1(町民提案)

  1. 町長の思いに応えて提案した人は回答を見て、自分の提案がリスペクトされないと学習してリピートをやめたかもしれません。もったいないことです。

  2. この問題にはテクニカルな対処があります。意見募集のフォーマット変更です。何が問題ですか?→どうなったらいいですか?→そのためにどんな打ち手を提案しますか?と町民の心理に合わせて聞き、回答するのです。(美瑛町共有ビジョンの手法)

  3. そして、相手の立場にたった回答となるよう、盛り込むべき項目(要件)と、評価基準をマニュアル化することだと思います。

※いまのフォーマットにある「事業の内容/予算」とか「事業の効果」は町民にはハードルが高すぎです。書ける人は書いてもらえばいいです。そもそも役場が考えることです。

 

まとめー2(組織風土)

  1. このテーマを通して、策定中の総合計画の指標(KPI)のP-D-C-Aマネジメントは組織としてきちっと回せるのかなと思いました。C-Aのアクションがないという意味で。

  2. 民間の改革プロジェクトもP-D-C-AサイクルのCとAが実行できず、Pが絵に描いた餅になり、Dで使った予算と時間が無駄になる事例が多いです。組織として目の前の仕事(予算と実績)が優先するのです。

  3. このテーマに現れた町民と役場のメンタルな作用からくるコミュニケーションのずれは、町民コメント制度や、議会でのやり取りにも現れています。(今後のテーマ)

2022-12-09 Noriaki Gentsu @ NorthQuest

 

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