あらすじ
わが町の近くに人口流出と正面から戦い、4年目で一定の成果を出しつつある小さな町がある。人口3,554人が2060年に1,303人になるとの国の推計を受け、あきらめずに挑戦。よく見ると私たちに「やるべきことをせよ」と教えている気がする。
結果を出した下川町
人口流出が止められないわがまち美瑛(※)のすぐ近くに学ぶべき町がある。下川町の「公報しもかわ」の9月号(図1)から見えたことが、わが町に「やるべきことをしているか」と問いかけている。
地方創生の2年目から3年間で移住者が劇的に増えた
移住者ひとりを獲得するのに、15倍から30倍の相談件数をこなした
獲得率が4%、3%、6%と、徐々に効率アップした
これによって、短期間のあいだに人口流出を克服するトレンドに乗った。ーページ下のデータ集を参照
※美瑛の人口流出の実体は、(No.64)止まらぬ人口減少~戦略と政策を転換のとき!
結果がでないわが町
「やるべきこと」を考えたとき、わが町の地方創生の動きとのギャップが大きいと思うー図2
移住相談件数が、地方創生の当初目標の100件の半分にも達していない。しかも横ばいである。
移住者数の目標も結果も公表されていない。あるいは把握していない。
地方創生第2期、5年後(2024)の目標も100件で検討中。移住者数の目標なしー2019/11/7現在(まちづくり委員会資料)
この情報が意味するもの
移住政策の取り組みの差が、成果の差になっていると考える。
図3 一般に獲得できる移住者数は、相談件数に比例する。効率はそのまちの事業のクオリティーをあらわす総合的な値となる。下川町で3%~6%。つまり、希望数する移住者数の15倍~30倍の相談件数を獲得しなければならない。
仮にわが町が毎年30人(※)の移住者数を必要として、(下川町と同じ事業のクオリティーなら)毎年450人から900人の相談をこなさないといけない。(※)2015-2019における人口移動目標(KPI)の未達分を移住者の増加だけでカバーすると単純に仮定。
この仕事量は、縦割りではなく明確なミッションをもつ専任の組織体制、革新的なシナリオ、およびアクションプランが必要なレベルだろう。
下川町に学ぶべきこと
下川町のホームページの地方創生戦略(下記の資料集)から学べる事、つまりわが方に欠けているものを整理した。
(将来の危機感と自立ビジョン) いまの人口3,554人がこのままいくと2060年に1,303になるという国の推計(不都合な真実)を正面から受け止めた。そして、それを克服するため「自立し発展し続けるちいきづくり」というビジョンを掲げた。
(シンプルかつ素直な戦略シナリオ) ”「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む「好循環」の確立と、「好循環」を支える「まち」の活性化”
(問題をデータで徹底的にブレークダウン) 解決すべき問題のデータ(症状)まで深堀し、やらねばならない(MUST)事業をパッケージで紐付けた。つまり、うまくいく確率の高いアクションプランを有している。
(わかりやすいPPT) 計画の「資料1~4」はパワーポイント(PPT)で作られているため、町民から国に至るあらゆる関係者がビジュアルとテキストで情報を共有できる。内容が実践的であることが一目見てわかる。ちなみに、テキストの「本文」はPPTで固めたストーリーから文字起こししたためか、無駄がなくわかりやすい。
データ集
グラフ集(美瑛町と下川町の比較)
政府の統計(e-Stat)の 「住民基本台帳人口移動報告」から引用( 2014-2018年の比較のため、日本人のデータとした)
1.人口移動の年度推移ー下川町の人口流出に歯止めがかかったと見える
2.人口移動の5年間の累積ー大きな差が積みあがっている
3.5歳ごとの人口移動を単純に5年間累積し、1年あたりに直すと
下川町は、15歳から24歳までの流出と、25歳から35歳までの流入が均衡している
美瑛町は、15歳から24歳までの流出と、25歳から35歳までの流入で均衡していない
Noriaki Gentsu @NorthQuest
◆起業や地域の問題解決を目指す若者にむけ、「北の若者塾」を始めました。 https://www.blog1.northquest.net/
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